Magazinehouse Digital Gallery vol. 8 1976年6月『POPEYE』 創刊号より その5 California Style

(2011.05.27)

『POPEYE』創刊号のファッション特集は、スポーツウェアを街着にする提案だ。スポーツウェアを街で着るのは今や当たり前だが、1976年当時はそうでもなかった。扉ページにこうある。「カリフォルニアにいると、そこに住む若者たちがさまざまなスポーツ・ウエアを単にスポーツ用としてだけでなく、僕ら自身のライフ・スタイルに最も適した服として一般的に着こなしているのに気がつく」。西海岸的なスポーツウエアの着こなしは、当時の最先端ファッションだったのだ。『POPEYE』が発信したこのカルチャーは、NIKEやUCLAブランドとともに日本中に広まり、LACOSTEやIZODのポロシャツ、ダウンジャケットやマウンテンパーカーなどの大流行へとつながった。

この特集が取り上げたのは、ジムショーツ、ポロセーター、ポロシャツ、ラグビージャージの街着としての着こなし。ポロシャツやラグビージャージに違和感はなかったが、後にジョギングパンツと呼ばれるようになったジムショーツで街を歩くのはさすがにやり過ぎに思えた。だがこれも、いつのまにか、銭湯に通う大学生の普通のスタイルになり、1978年にはジョギングパンツでテレビに出るバンドまで登場した。デビューの頃のサザンオールスターズである。

 

Magazinehouse Digital Gallery 過去の名企画をライブラリーから

1945年創刊の『平凡』に始まり、『週刊平凡』、『平凡パンチ』、1970年代になると『anan』、『POPEYE』、そして『BRUTUS』『Olive』『Hanako』、最近では2011年3月創刊の『Lips』まで、マガジンハウスは時代とともに歩み、時代にあった雑誌を作り続けてきました。その間、それぞれの雑誌ライフスタイルを体現した読者たちは「みゆき族」「アンノン族」「ポパイ少年」「ハナコ族」などと呼ばれ、時代を象徴する存在となりました。『Magazinehouse Digital Gallery』は、マガジンハウスの豊富なライブラリーの中から、過去の雑誌の名企画を拾い出し、資料画像として限定公開する企画です。すでに入手困難となった創刊号、また世間を騒がせた名企画など、興味深い企画を順次公開していく予定です。