Magazinehouse Digital Gallery vol. 9 1980年5月『BRUTUS』創刊号より
その1 目を覚ませ、ブルータス!

(2011.06.06)

『POPEYE』の持ち込んだアメリカ西海岸のライフスタイルは大学生を中心に熱狂的に支持され、『POPEYE』は瞬く間に男性ライフスタイル誌のトップブランドへと成長した。成功した雑誌から新しい雑誌が枝分かれしていくのは必然である。『POPEYE』の編集部には、フリーランスも含めて年齢の高いスタッフがいたこともあって、新雑誌は『POPEYE』の兄貴分的な雑誌を目指すこととなった。創刊スタッフは『POPEYE』を創刊した木滑良久に石川次郎、フリーランスのエディターとして松山猛、寺崎央、都築響一が参加した。デザインは『anan』『POPEYE』を手がけた堀内誠一である。

『BRUTUS』は男が悦楽的に生きるためのライフスタイルマガジンというコンセプトで、木滑が西海岸の取材中に接触したアメリカの若いエグゼクティブのライフスタイルをヒントにしていた。創刊号はそのスタイルのブレゼンテーションだ。具体的なイメージを目次から拾ってみると、「荒っぽい手つきながら、男の化粧がはじまる」「時には、カリフォルニア・ワインを飲んでみたいと思うのだ」「休日にはいいものを着る。魂が開放される」「日曜の朝はゆっくり起き、シャンパン・ブランチを楽しむ」「1日に2回は、スポーツで汗を流したい」。誌面には『BRUTUS』の提案が、1テーマずつクオリティの高いヴィジュアルで表現されていた。時代は1980年、バブルに向かって助走を始めた時期。『BRUTUS』は、”ヤンエグ”というカルチャーを先取りしていた。

 

Magazinehouse Digital Gallery 過去の名企画をライブラリーから

1945年創刊の『平凡』に始まり、『週刊平凡』、『平凡パンチ』、1970年代になると『anan』、『POPEYE』、そして『BRUTUS』『Olive』『Hanako』、最近では2011年3月創刊の『Lips』まで、マガジンハウスは時代とともに歩み、時代にあった雑誌を作り続けてきました。その間、それぞれの雑誌ライフスタイルを体現した読者たちは「みゆき族」「アンノン族」「ポパイ少年」「ハナコ族」などと呼ばれ、時代を象徴する存在となりました。『Magazinehouse Digital Gallery』は、マガジンハウスの豊富なライブラリーの中から、過去の雑誌の名企画を拾い出し、資料画像として限定公開する企画です。すでに入手困難となった創刊号、また世間を騒がせた名企画など、興味深い企画を順次公開していく予定です。