Photo Gallery vol. 8 days in Buenos Aires
Jumpei Nagatsuna
(2012.06.15)
旅をしていた。二人で。三年半。
ブエノスアイレスにバスが到着したのは、
確か正午近くだったと思う。
抜けるような青空を仰ぎ見ながらタラップを降りると、
思いのほかヒンヤリとした空気が首筋に触れて
少し身震いしたのを、今でもはっきりと憶えている。
あの時の、いつもより妙に高揚した気持ちとか、
吸い込んだ息に交じっていた夏の始めに特有の匂いが、
結局最後まで僕らにとっての『ブエノスアイレス』だったような気がする。
空は、いつだって晴れ渡っていた。
僕らはいつだって楽しくて、嬉しくて、
石畳の町を路地から路地へ、毎日ひたすら歩き続けていた……。
長綱 淳平 / Jumpei Nagatsuna
from World & Sons. Bookseller
明治大学理工学部建築学科卒、一級建築士。2007年5月~2011年2月、夫婦で世界を旅する。その後、旅の空気感、時間、大きさを伝えるべく写真と文章で綴る自主制作の旅の本『travel zine series』の制作をスタート。全編手縫い、自家印刷、 1冊=1カ国(1地域)で編集、これまでに「vol.1 Zimbabwe」~「vol.11 Israel」の11冊を発行している。『travel zine series』 はWEB 、一部書店にて販売中。現在、代官山 蔦屋書店で『travel zine series』のコーナーが特設されている。