さむらいペンギン 43 ノミニゲーション

(2013.02.21)

◆43 「ノミニゲーション」

試合当日——

プハ!
グビグビ…
 おっ、おっ、おっ〜

うへへへぇ?

スナギモが差し入れした日本酒で、
モーパッサンとシゲロウは、
現実逃避のノミニゲーション
を楽しんでいた。

「シ?シ?ゲロ??
次! あれやろ!  あれ!!
だ?るま?叩き」
上機嫌のモーパッサン。

「いいね?♪ パッサン?♪
じゃ〜目隠しするぞ♪
     こ〜れも?修行?♪」
こちらも上機嫌のシゲロウ。

「よっしゃ?やるで〜?
お酒で〜感覚を研ぎ澄ませて〜
     百海振り?や?」

「うっ〜りゃ?」

        スカッ

「ブワッハハ!
パッサン?もっと右?♪」

  スカッ

「左??」

      スカッ

「パッサン?ダメじゃねか〜あ♪」
そう言うと、グビグビと酒をあおる
シゲロウ。
「あり〜ゃ!
  も〜うなくなっちまった?♪
      ちぇっ♪」 
     ポイ

空になった瓶を放り投げた。

「お?い?
    シゲロウ??
   今度はどっちや??」

「よ?し、モーパッサン?♪
もっと?もっと?もっと?
後ろへさがれ?イイぞ♪
そこから思いっきり?走るんだ?♪
 ゲプっ」

「おひゃ??
    行くでえ??!!」

うおおおおお!

目隠したまま、猛スピードで走り
だしたモーパッサン!
そこに!!   

つるっ!!!

       コロコロ

「モ???
  パッ???
     サ???ン」

ズバシュ!!

大晦日・ 夜の八時——
ここはプチプチ島の北西部に
浮かぶ市民ステージ。
いつもの大晦日は、島のペンギン
たちが集まり”紅白歌祭り”を楽しむ
のだが……今年は
”achi-fightclub”が開催される。

ワアアアア!!!
      ワアアアア!!!

 

ステージはすでに、氷が割れんばか
りの大歓声!!
島中のペンギンが、
スナギモ VS モーパッサンの試合を
観るために集まってきたのだ!!
この試合のオッズは…30:1。
モーパッサンは超大穴となっていた。

パッ
突然、スポットライトがつくと

ホールの真ん中に、タキシードを
着たネギマが現れた。
ネギマはマイクを構えると、
「え?っ。
レディ〜ス〜アンド〜
   ジェントルペン〜!!
今年最後の〜ビッグイベント!!
”achi-fightclub”の開催で〜す!」

ワアアアア!!!
      ワアアアア!!!
再び大歓声。

ピゴッ
再びマイクを構えるネギマ。
「では〜選手の入場です〜
タイジュウオモクテ?
ヨクワカラナイパウンド?
もと?
小結?砂輝王?
ドン・スナギモ?!!!」

 
       ドン 
 

    ドーン

  ドーーーン

ワアアアアアア!!!
大歓声!!

再びネギマのアナウンス、
「続いて?
コチラハ?カルクテ?
ヨクワカランパウンドケ?キ?
プチプチ島の?お調子者?
モーパッサン?!!」

シーーン

「モ?パッサン????」
再度呼びかけるネギマ。
しかし、返答はない。
ざわめく会場——
 ネギマはカップラーメンを取り
出した。
すると、三平がそこにお湯を注ぎ
はじめた。

「皆様、お静かに?約三分で〜
カッパラーメンが食べれま〜す。
それまでに?
モーパッサンが〜来なければ?
ドン・スナギモの不戦勝と?
なります?」
      ブーー
 ブー    ブーー
 ブーーーイングの嵐!!

カッパラーメンか!!
モーパッサンか!!!
それとも年越しソバか!?