さむらいペンギン 45 デンジャーな香り

(2013.03.22)

◆ 45 「デンジャーな香り」

ごーーーん
ごーーーーん
大晦日——
除夜の鐘が鳴り響く。

緊迫する二匹の間を冷たい風が
吹き抜ける。
 スナギモは何かを探るかのよう
に指を立てると、ゆっくりと
時計回りに動きはじめた。
モーパッサンもそれにあわせ、
ゆっくりと動く。
 二匹の間を吹き抜ける風は、
次第にスナギモからモーパッサン
に向かって流れると……

ぷーーーーう

    「臭っ!」

悪臭に気を失いそうになる
モーパッサン。
そこに!
黒い弾丸スナギモの一撃!!

かろうじて交わすモーパッサンだが!!
スナギモのバックハンド!!

吹き飛ばされるモーパッサン。

地面に叩きつけられる。
あたりは強烈な腐敗臭が漂う。
レフリーのネギマは、

バタリ!

気を失った。
 死の香りは客席にも拡散し、
ペンギンたちは涙を浮かべ鼻を
おさえた。

スナギモは、グフフと嗤うと、
「ここんとこ?よ。
クリオネやトドばかり食って
たからよ!
なかなか〜デンジャーな香り
だろ〜うが」

バックハンドと毒ガスで地面に
うずくまるモーパッサン。
そこに、さらなる一撃!!

カキーン!!

カキーン!!

転がりながら、一升瓶をかわし
続けるモーパッサン。

カバキーン!!
       
 ビシッ!

凍れる鋼の大地!
その固さに、一升瓶にヒビが!!
しかし!
そんなことで攻撃の手を緩めても!

ドシーーン!!!

ドシーーン!!!

今度はスナギモの四股踏み攻撃!!
 モーパッサンは転がり逃げるため、
長い竹刀を振るうことができない。
絶対絶命! モーパッサン!!

「百海振りじぇ!!」

一瞬、デェマの声が聞こえた?

まさかと思いつつ、冷静さを取り
戻すモーパッサン。
転がりながら目を閉じる。
まわりの状況を感じ取る技——
”百海振り”

「同じやぁ!!」
そう叫ぶと竹刀の柄を強く握り、

セイ!!

オギャ!!

叫ぶスナギモ!
長い竹刀は振るえなくても、
短い柄なら回転しても攻撃できる。
 小柄なモーパッサンは、
足を抱えるスナギモの股をすり抜け、
くるりと振り返えると!!

 ジャキーン!!
    

鋭い一撃!

 ズズッズズッ…

その一撃を弾き返すスナギモ!
その一撃を受け止めるモーパッサン!

ワーーーーーア!!
激しい攻防に大歓声が!!

互角の勝負!!
ペンギンだけに!
白黒着くのか!?