さむらいペンギン 04 伝説の剣

(2012.02.06)

◆04 「伝説の剣」

翌朝。
コケコッコー!

プチプチ高校の超イケペン優等生!
それが俺、シゲロウ。
 
今、プチ高では大変な騒ぎが起き
てるんだ。
あっ、プチ高ってプチプチ高校の略。
その騒ぎの中心は、これ!

 今朝は、朝礼があったんだ。
その最中、こいつが校庭に流れ着い
てきた。
そしたら、これを見つけた馬鹿な
ペンギンどもが大騒ぎ!
どいつもこいつも、
「俺が見つけた!」
「俺のモノだ!」
「去年、失くした物だ!」
とかとか。
好き勝手なこと言いやがって、こい
つに殺到。
その結果がこれだよ。

もう、この状態で15分が過ぎた。
ふうーっ。
 おっ、ナタリーちゃんが俺の方を
見てるんじゃねえか。
ふふ、仕方ねーな。
そういやぁ、この騒ぎでスッカリ忘
れてたが……
いつもうるさいアホパッサン——
いや、モーパッサンがいねえな。
ペンギンのくせに風邪か?
つーか、馬鹿は風邪ひかねぇんじゃ
なかったっけ?

「はいはい、皆さん。
  校長先生のお話を聞いて下さい」

担任のアレハンドロだ。
やっと、先公どもが動きだした。

ピィゴーッ!
「ひゃいひゃい、ミンナ、
 元気でなによりじゃん!」

 マイクもろくに使えない老人、こ
いつがプチ高の校長先生、デェマだ。
今年になって突前、プチ高の校長と
して、やって来たんだ。
以前はニューヨークと言うとこに住
んでいたらしい。
まあ、よくわからん謎の爺いだ。

「ひゃてひゃて、ミンナが欲しがっ
ているそれ……それは、竹刀と言う
んじゃが、その竹刀には銘……
名前があるんじゃ!」

デェマはひと呼吸おくと、

「それは伝説の勇者しか、
引き抜くことが出来ない!
 伝説の剣!!
     その名も……」

ジャジャジャ♪
     ジャァーン♪

  「米闘勉」
おおーっ!
ペンギンたちのどよめき。

 何んだって!?
伝説の剣……べーとーべん!?
ダセぇ名前。
俺の趣味じゃねえな。

「今から、
 大事なことを言うじぇ!」

な、なんだ。
ゴクリ。

「ミンナの中で……
この竹刀を引き抜いた者が!
この竹刀の持ち主!
すなわち、伝説の勇者じゃ!」

ワァァァァー!

 おいおい、煽りやがるな。
高校で伝説の勇者デビューかよ。
あんま興味ねーな。

おっ、ナタリーちゃんの瞳が濡れ
てねえか。
ここは濡れ場……いや、見せ場!
つまり、俺様、シゲ様が!
竹刀とナタリーちゃんのハートを
ゲットだぜ!
ちっ!
ここで、あのアホパッサンに!
格の違いを見せつけてやれねーのが、
残念だぜ、ニヤリ。

「はいはい、皆さん。今から出席番号順に並んで下さい。出席番号順に並んだら、順番にこの伝説の剣を抜いてもらいますよ。はい、並んで下さい。」

「背の低い方じゃなくて、出席番号順にですよ!」

で、どうするシゲロウ!
デェマが伝説の剣とか言いやがるから、なんだか神々しく見えるな。

「はい、最初はアラン君から」
と、アレハンドロ先生。

おっ、アランのヤツしっかり握りやがった。
あいつ、意外と腕力があるんだよな。

「始め!」
デェマがかけ声をかける。

「うりゃ!ぐぐっ」

アランのヤツ、プルプル震えてやがる。何だよ、あの竹刀。
ピクリとも動かねえな。

プルプル……

プルプリ……

「も……もう、無理……」
バタン!

アランがギブアップした。

なんだこりゃ。
まったく抜けそうにないじゃねーか。
出席順かぁ……
意外と俺様の順番が早いな。
恐らく……まわりのアホペンどもは気がついてねえだろうが、後で竹刀を抜くペンギンの方が有利!
だが、遅すぎても抜かれる恐れがある……は!

「はい!アレハンドロ先生!!」

「どうしたんですか、シゲロウ君」

「昨夜、遅くまで勉強をしていたので、体調が良くありません。
しばらく休めば良くなると思うので、僕の順番を飛ばして下さい!
僕は、途中から参加させて下さい」

「大丈夫ですか?シゲロウ君。
それでは少し、休んでいてください」

OK!
これで、竹刀が抜けそうなタイミングで俺様が割り込む!
そして、俺様!
シゲ様が伝説の剣・米闘勉を抜くぜ!

キラーン!

突前、プチ高に漂流した伝説の竹刀?米闘勉!!
これを引き抜く勇者は誰だ!
そして、モーパッサンはどこだ!?