◆10　「怒れる魂」

桜吹雪斬りをマスターすべく、
修行を続けるモーパッサン。
はたして、勇者としての第一歩を
踏むことができるのか！？

　モーパッサンは途方にくれていた。
勇者の修行〜その壱”桜吹雪斬り”。
師匠デェマは、その極意を……
「桜を見るな！」
「アホになれ！」
そう伝えると、立ち去って行った。

「とりあえず、目をつぶろう！」

モーパッサンはそう言うと、目を
閉じたまま”桜吹雪斬り”の修行を
始めた。
　　　　　　　　　ブーン！

ブーン！　ブン！　ぶぅーん！
「うわぁ、あれっれれ……」

ドボーン！

次の日——

「とりあえず今日はアホになろう」

「うひゃひゃひゃ！　
　　　　　うっひゃー！」
　ブーン！ブーン！

「うっひょ！うっひょ！」
ブン！ブーン！

きゃっ！
「モーパッサンの変態！！」
バシッ！

さらに次の日——

「目を閉じてアホにれば良いんや」

「うひゃひゃひゃ！！」
　ブーン！

　

「きゃっほい！！　
　　　　うっひゃー！」
　

　　　　ブーン！
ぎゃっっー！

「モーパッサンの変態！！
あんたなんか死んだら良いのよ！」

　　　　　　　　
　　　　　　　 バシッ！

ヒューーッ。
ドボーン！

　数日後ーー

「もうあかん。ナタリーちゃんにも
嫌われたし、いくら練習しても上手
くならへん。
今日で桜も散ってしまいそうや……
俺なんて、勇者どころ死んだ方がえ
えでぇ……」
校庭でうずくまるモーパッサン。
その背後から……ズン。

　
　プチプチ高校の怒れる魂。
それが俺、シゲロウだ。
モーパッサン、いやアホパッサン！
修行をしていたのは！
お前だけではなーい！！
　ドッチボールで、お前に病院送り
にされてから１０日間。
俺様もお前をブチのめすために、
兄貴・シゲール特製
の”強制ギブス”
を付けて！

”氷柱付きドッジボール”を使って、
　　　　　　　　　　血を吐くよう
　　　　　　　　　　　な修行を
　　　　　　　　　　　　積んで
　　　　　　　　　　きたのだよ、
　　　　　　　　　モーパッサン。

　まさか、こんなに早く復讐の機会
が巡ってくるとは……
スーパー凹んでいるお前の背後から、
音もなく俺様の必殺技——
”アイスブレイク１号”
をブチかます……これぞ完全犯罪。
ククククッ。
アホパッサン！　
死ねやぁ！！

まさかの伏兵！
そんな二人の関係は、
アンチ・アイスブレイク！！