さむらいペンギン 19 ココナッツ

(2012.05.28)

◆19 「ココナッツ」

「真の勇者の秘儀!!
  その名は……
 ”達磨斬り”じゃ!」

 

「モーパッサン。
この達磨切りは、今までの修行
より厳しいじぇ。
ユーが勇者になれるかどうか……
この技をマスター出来るか!
出来ないかにかかっとるじぇ!!」

「はい、デェマ師匠!
     頑張るでぇ!!」

「まずは、モーパッサン!
    雪達磨を作るんじゃ」

「ゆ、雪達磨ですかぁ……?
    ほ、ほな…作りまーす!」

ゴロゴロ……

ゴロゴロ……

  
  
   ポン

「まあまあの出来じゃ……(苦笑)
ほんじゃモーパッサン。
竹刀・米闘勉で、この雪達磨を…
真っ二つにするんじゃ!」

「え、えーっ!
この雪達磨を、真っ二つですか!」

「勇者の必殺技じゃ!
  そう簡単には出来んじぇ!」

「せっかく……
 せっかく…
 せっかく、作ったのに(泣)」

「そっちかよ!
ウザいやっちゃ……
とにかくやってみるんじゃー!!」

モーパッサンはしぶしぶ米闘勉
を構えると、

   「成仏してや!」

エイ!

    パス

「まあ、三割くらい斬れたかの。
もう一度じゃ。
もう一度、初めから雪達磨を作り
直すんじゃ」

「えーっ!
せめて、頭の部分だけでええんと
ちゃいます!?」

「何を、言っとるんじゃ!
敵を斬りつけて、失敗したから、
もう一度斬らしてくれとは、
言えんじゃろう!
それと同じじゃ!!
失敗したら、最初からやり直す。
それによって、本能的な集中力が
養えるんじゃ。
あと、何個も雪達磨を作れば、
ペン並外れた体力も身につくじぇ」

「デェマ師匠、わかりました!
   よっしゃ、やるでぇー!!」

モーパッサンはその日、
何度も雪達磨を作ったのだが……

あかんかった……ようだ。

”ココナッツ”本店——
プチプチ島にそびえる氷の金字塔。
それが、カキ氷専門店”ココナッツ”。
 俺は”ココナッツ”の
イケメンウェイター・シゲロウ。

 ココナッツは、全世界に百店舗
以上ある巨大カキ氷チェーン店だ。
しかし、なぜか?
ハワイにある大型店舗が支店で……
プチプチ島にあるこの店!
外装が半分しか出来ていないこの
店が、ココナッツ本店なのだ!

ココナッツの売り文句は——
「南極の孤島・プチプチ島の氷を
 100%使用!!
 プチプチ島から愛を込めて!」
しかし、俺様は……
プチプチ島から、氷が運び出された
のを、一度も見たことがない!
一度もだ!!
 ちなみに、全世界のチェーン店に
は、このような写真が飾られてある。

もう少し、詳しく解説すると……

 でぇ!
何で俺様がこの店で働いて
いるかというと……
俺の兄貴が、この店の雇われ店長
だからだ。
 つぅーことで、今日はバイトの日。
もうそろそろ、閉店の時間だな。

ガチャ!
 「もう〜閉店か〜い?」 

まさかの!
”achi”のメンバーご来店!!