さむらいペンギン 31 おネギ

(2012.09.20)

◆31 「おネギ」

一瞬のうちに、
九兵衞と八郎を倒したモーパッサン。

「ナタリーちゃん…
  敵は討ったで!!」

お〜ん、おんおんおん!!

ナタリーちゃんが死んだ悲しみと、
よくわからない達成感で——
涙が止まらないパッサン。
そこに!

「泣くんじゃねぇ!!」

三平の張り手——
男としてのナイス指導が炸裂!
心身共に不意を突かれ!!
よろめくモーパッサン。

ネギマは目を細めると、
「三平はよ〜元力士でぇ〜
 ペンギン初の小結〜
 ”砂輝王(スナギオウ)”の付き人
 だったんよぉ!
 三平〜白星とったれや〜!!」

「残った!」

「残った!!」

「残った!!!」

氷の土俵際まで、
追い詰められたモーパッサン——
もう! 己を取り巻く世界まで!
感覚を広げる勇者の技!
”百海振り”しかないでぇ!!
パッサンは目を閉じる——

「これやぁ!」
叫び、見開くモーパッサン。

迫りくる三平!!

ドシャーン!!

「三平〜!
    黒星じゃ〜!!」

スチャ。
モーパッサンは、フワリと、
ココナッツの床に着地した。
その時——
    
      グサッグサ!!

カチカチのネギが襲い掛かる!!

「でりゃりゃ〜あ
俺を〜本気で怒らせたな〜
このカチカチの九条ネギ〜
その身体で!
しっかり味わえや〜!」

ゆっくりと構え、向かい合う、
二匹のペンギン。

チリチリとした緊迫感が、
ココナッツに充満し始める。

モーパッサンは——

勝負は一瞬や!
シュンって動く勇者の技、
”発破文踏み”を使うんや!!

ネギマは——

オイチョカブで鍛えた集中力〜
野郎が〜飛び込んできたとこ〜
”おネギ”でグサリよ〜!

二匹は動かない。

10秒の時が過ぎた——刹那
 バチーン!!!

 「ネギぃ」

 「短い……じぇ」

  

バタッ

勝負は付いた。

竹は!
ネギよりも長し!!
ペンペン。