さむらいペンギン 33 タコとイカの叫び

(2012.10.15)

◆33 「タコとイカの叫び」

元小結・スナギモと、
サシで勝負となったモーパッサン!

「シゲールさん、あいつの事……
知ってるんですか?」

「ああっ…俺は3年前まで、
日本の秋葉原というところにたの
だけれど……
その頃、ペンギン初の相撲取り
が現れたんだ。
それがあの砂輝王——
    スナギモなんだ」

「相撲って……なんですかぁ?」
と、モーパッサン。

「人間達がやっているスポーツ
というか格闘技…神事というか…
土俵という円の中から相手を押し
出すんだ。こんな感じ——

で。
砂輝王はすぐに頭角を表し、
ついには小結まで昇進したんだ。
快進撃を続ける砂輝王は、
九州場所で優勝しそうな勢い!
日本にいたペンギン達はみんな
応援していたよ。
だけど…そこで事件が起きたんだ。
十両・潮垂山と砂輝王が、
がぶり四つの接戦になったとき、
砂輝王の嘴が!
潮垂山の左目に入ったんだ!!

この一件で砂輝王は引退——
ペンギンは角界に入ることが出来
なくなったんだ。
それから砂輝王は、ちゃんこ屋に
なったとか…って聞いていたけど。
まさか!
ヤクザになってたとは!!」

「そ、そうなんやぁ…でも!
もうやったるねん!!
あいつらがおらんかったら!
ナタリーちゃんも!
死なずにすんだんや!!」

「モーちゃんも死んじゃうよ!」

「死んでもエエんやぁ!!」

翌日——

昨夜、モーパッサンは
今まで経験したことのない強く
複雑な感情——
タコとイカが頭ん中で叫んでる
(本人曰く)で、
あまり寝ることが出来なかった。

彼は朝早く家を出ると、
冬休みに入ったばかりだというのに、
プチプチ高校へと向かった。
 その道中、彼はピンク色の花——
プチプチナデシコを見つけると、
そっと摘み取った。

プチプチ高校——
 モーパッサンは誰もいない教室に
入ると、ナタリーちゃんの机に
ピンクの花を捧げた。
 そして、目に涙を浮かべると、
「ううっ…ナ、ナタリーちゃん…
もうすぐ…僕も…
そっちに逝くかもしれへんけど…
そん時はチュウしような」

モーパッサンは涙を拭くと、
校長室へ向かった。
ナタリーちゃんのこと——
achiとの仁義なき争い——
スナギモとの勝負——
そしてなにより——
必殺・達磨斬りのことで、
デェマ師匠に、いつものアドバイス
をもらいたかったのだ。

モーパッサンは校長室の前に立つと、
焦る気持ちを押し殺し……
ドアをノックした。

ドン
ドン

「どうぞぉ、入りたまえ」

モーパッサンは、いつも以上に緊張
した面持ちで、扉を開けると——

ガチャ

「デェマ師匠!
   聞いてくださーい…

 えっ……

 だ、誰ぇ…ですか?」

校長室の椅子に腰掛ける
謎のペン物!?
一体だらやねーん?