軽やかで可愛らしい テキスタイル『西洋更紗 トワル・ド・ジュイの世界』

(2016.06.23)
『工場の仕事』 J.B.ユエによるデザイン 1783 年 銅版プリント・綿 (ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy
『工場の仕事』 J.B.ユエによるデザイン 1783 年 銅版プリント・綿 (ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy
トワル・ド・ジュイ美術館から
約150点がやって来る。

トワル・ド・ジュイ(La Toile de Jouy)とは、直訳するとジュイ村の更紗(さらさ)。ヴェルサイユ近郊ジュイ=アン=ジョザス村で1760年から閉鎖する1843年までに作られたテキスタイルのこと。そのデザインは田園風景と人々、またそこに息づく草花の姿を生き生きと写しとった楽しさが特徴。こちらの展覧会は近世まで遡りそのデザインの源泉、17世紀後半西洋に上陸したインド更紗の影響、18世紀ジュイ=アン=ジョザス村にドイツ出身ののプリント技師クリストフ=フィリップ・オーベルカンプによって設立された工場とそこで開花したテキスタイルの世界を紹介するものです。

トワル・ド・ジュイはインド更紗の影響の見られるエキゾチックなパターンから始まり、フランス流の花模様に発展した木版プリント。女性たちの装いを彩った愛らしい草木デザインでマリー・アントワネットも愛用されました。

その後は田園風景、神話や文学などにモチーフを求め風景を単一の色調で染め上げる銅版プリントのテキスタイルで一世風靡。オーベルカンプの工場は1783年にはルイ16世によって「王立」の称号を与えられるほどになりました。

『コクシギル』 1795年頃 木版プリント・綿 (ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy
『コクシギル』 1795年頃 木版プリント・綿 (ジュイ製) トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy

残念ながらフランス革命後は衰退。1815年にオーベルカンプが死去後工場は閉鎖されてしまいます。しかし、アーツ&クラフト運動を牽引したウィリアム・モリスや、色彩の魔術師といわれた画家ラウル・デュフィら後に続くフランスのデザイナーやアーティストへの影響は大きかったといわれています。

ジュイ=アン=ジョザス村のトワル・ド・ジュイ美術館 Musée de la Toiles de Jouy からの軽やかで可愛らしいトワル・ド・ジュイを中心に現代におけるその発展形の展示もあわせて約150点が並びます。お見逃しなく。

 18 世紀末~19 世紀初頭 木版プリント・綿(ジュイ製)トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy
18 世紀末~19 世紀初頭 木版プリント・綿(ジュイ製)トワル・ド・ジュイ美術館蔵 ©Courtesy Musée de la Toile de Jouy
『西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展』

会期:2016年6月14日(火)〜7月31日(日)
時間:10:00〜19:00(入館は18:30まで)、金・土〜21:00(入館は20:30まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話:ハローダイヤル 03-5777-8600
料金:一般1,400円、1,200円、大学・高校生1,000円