出光美術館開館50周年記念 かわいくておもしろい禅画 『大仙厓展-禅の心、ここに集う』

(2016.11.05)
『○△□』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『○△□』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『福岡市立美術館』、『九州大学文学部』の
作品も加え全132作品。

出光興産創業者の出光佐三が1966年にオープンさせた『出光美術館』。ジョルジュ・ルオー、サム・フランシスの洋画コレクションでも知られていますがその最たるものは江戸期に生きた禅僧・仙厓(せんがい)による禅画の数々。開館50周年記念として『出光美術館』の仙厓画に加え、九州は『福岡市立美術館』、『九州大学文学部』からの作品も併せ全132作品を『大仙厓展-禅の心、ここに集う』として展示中です。(期間中展示替えあり)

仙厓(1750-1837)は博多にある日本最古の禅寺・聖福寺の住職として活動した禅僧ですが、その書画でも当時から知られていました。さらさらと力の抜けた線で人物や動物、自然の様子を写し取りながら達筆究まる文字による言葉を添えた作品はユーモラスながら禅の道を目指す志を忘れぬ、機知に富んだものでした。一時は絶筆宣言をしなければならないほど引っ張りだこの人気だったといいます。

○や○△□のシンプルきわまりない画でもあり、文字でもあり……な墨跡。はたまた、ちょっとお腹がポコッとした布袋さんと、まるっこく肥えた子供が笑みをたたえて指を指す『指月布袋画賛』……その作品は「禅画」とは何? という人でも一度は見たことがあるのではないでしょうか。墨の濃淡をみごとに使い分けるしなやかなその線は現代のドローイングさながら。また楽しみながらしたためている文字は手書きレタリングに通じるものあり。

『指月布袋画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『指月布袋画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵

今回の展覧会では
1 仙厓略伝ー作品でつづる生涯
2 仙厓の画賛ー道釈人物画で画風の変遷をたどる
3 仙厓禅画の代表作、『指月布袋』『円相』『○△□』ー禅の心、ここに集う
4「厓画無法」の世界ーこの世の森羅万象を描く
5 筑前名所めぐりー友と訪ねた至福の旅をたどる
6 愛しき人々に向けたメッセージー仙厓の残した人生訓を味わう
の6章だてで、仙厓の足跡を辿ります。

絵の方はわかりやすくても、達筆によるかな文字、漢字はなかなか読むのは難しいものですが、今回の展示には文字部分に何が書かれているのかわかりやすい説明が各作品についているので安心して作品を楽しめます。読めた瞬間に思わずふふふ、と笑える作品も多くサプライズの連続です。

なお現在開催中の永青文庫『仙厓ワールド』展(~2017/1/29)、東京国立博物館『禅―心をかたちに―』展(~11/27)、の3展で相互割引あり。チケットの半券を各館の券売窓口で見せると当日料金から100円割引になる特典もあり。(1枚につき1名1回まで。他割引との併用不可)。

〜列品解説〜
11月10日(木)10:30、11日(金)18:00(事前の申し込みは不要・入館料のみ)

『一円相画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『一円相画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『堪忍柳画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
『堪忍柳画賛』仙厓筆、江戸時代、出光美術館蔵
 『凧あげ図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『凧あげ図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『あくび布袋図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『あくび布袋図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『犬図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『犬図』仙厓筆、江戸時代、福岡市美術館蔵(石村コレクション)
『釈迦降誕図』仙厓筆、江戸時代、九州大学文学部コレクション(中山森彦旧蔵)
『釈迦降誕図』仙厓筆、江戸時代、九州大学文学部コレクション(中山森彦旧蔵)

『大仙厓展-禅の心、ここに集う』
会場:出光美術館 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
会期:開催中〜11月13日(日)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)、金〜19:00(入館は18:30まで)
休館日:月
料金:一般 1000円、高・大生 700円、保護者同伴の上中学生以下無料 *障害者手帳をお持ちの方は200円引、その介護者1名は無料
電話:ハローダイヤル 03-5777-8600