Magazinehouse Digital Gallery vol. 4 1976年6月『POPEYE』 創刊号より その1 鳥になりたい男たち NATURAL HIGH

(2011.04.28)

「Magazine for City Boys」というキャッチフレーズで、都市生活者のための雑誌として企画された『POPEYE』は1976年に誕生しました。創刊号は、エアブラシで書かれたポパイの表紙の下に、まるごと一冊232ページを使った「カリフォルニア」大特集。初めて見るハンググライダーやスケートボード、ランニングをジョギングと呼び、運動靴をスニーカーと呼ぶ新しいライフスタイルがぎっしり詰まっていました。『POPEYE』は、その後もフリスビー、サーフィン、アウトドアライフなど、次々と新しいカルチャーを発信し続けます。そうしたカルチャーは「若者文化」と呼ばれ、瞬く間に東京の私立大学のキャンパスを席巻し、そこからまた津波のように全国に広がっていきました。『POPEYE』創刊号はその震源地でした。

1970年代半ば、当時の若者には、’60年代後半の学生運動のムードが尾を引き、反体制やシラケなどの気分が横溢していました。そんな中で『POPEYE』が提案したアメリカ西海岸の活気溢れる健康的なライフ・スタイルは衝撃的なものでした。時代の気分に飽きていた若者たちはすぐに飛びつき、熱狂的に支持しました。創刊編集長は木滑良久。石川次郎とのコンビで、その後『BRUTUS』を立ち上げます。わかりやすい欧米のキャラクターをタイトルに付け、新しいライフスタイルを提案していく路線は、『Olive』『Tarzan』『Gulliver』と続きます。1970〜80年代の雑誌文化の大きなムーブメントでした。

さて創刊号は、トップにまず、『POPEYE』創刊の挨拶、次に「カリフォルニア特集」の扉。ロサンゼルスのウエストウッドに50日間、臨時編集部を置き、カリフォルニアの明るく健康的なライフスタイルのサンプルを収集したと書かれています。コンテンツのトップはハンググライダー。内容は、空を飛ぶ印象的な写真からスタートし、イラストによる用具の解説、フライトの理論。そして、グライディング・ポイントであるポイント・フォーマンの紹介、カイト・ファクトリーのルポ、スカイ・フォトグラファーの紹介まで、西海岸のハンググライダー事情がひと通りわかる構成になっています。

 

Magazinehouse Digital Gallery 過去の名企画をライブラリーから

1945年創刊の『平凡』に始まり、『週刊平凡』、『平凡パンチ』、1970年代になると『anan』、『POPEYE』、そして『BRUTUS』『Olive』『Hanako』、最近では2011年3月創刊の『Lips』まで、マガジンハウスは時代とともに歩み、時代にあった雑誌を作り続けてきました。その間、それぞれの雑誌ライフスタイルを体現した読者たちは「みゆき族」「アンノン族」「ポパイ少年」「ハナコ族」などと呼ばれ、時代を象徴する存在となりました。『Magazinehouse Digital Gallery』は、マガジンハウスの豊富なライブラリーの中から、過去の雑誌の名企画を拾い出し、資料画像として限定公開する企画です。すでに入手困難となった創刊号、また世間を騒がせた名企画など、興味深い企画を順次公開していく予定です。