『胡同のひまわり』（’05）、『こころの湯』（’99）で世界的に知られる中国のチャン・ヤン監督が老人ホームを飛び出したお年寄りたちが巻き起こす大騒動を描く『グォさんの仮装大賞』。広大な平原をニコニコ顔でバスを爆走させるおじいさん、おばあさんの愛らしさ、それはとはうらはらのやるせない心情が何とも言えない魅力となっています。

妻が亡くなり義理の息子に家を追い出され、行き場所のないグォさんが友人のチョウさんを頼って辿りついたところ。そこは去り逝くその時を待つだけのお年寄りが集う老人ホーム。人々は老いと刻々と向き合い一日を過ごしています。車椅子の上に座りながらバーベルで体を鍛える人。すっかり皺だらけになった体で日光浴している人、杖をついてもおぼつかない足で階段を降りる人……

「死ぬのを待っているだけの人生なんて！」チョウさんは人気テレビ番組『仮装大賞』へ出場することをみんなに提案、老人たちはにわかに活気づきます。麻雀牌の扮装で出し物を練習して準備も万端。しかし健康を案じるホームの職員や家族からの大反対にあい、出場は阻止されてしまいます。

そんな憂き目もなんのその、グォさんたちはある計画を立てます。ホームを抜け出し仮装大賞へ向かうこと！　仮装ショウをすること！　まんまとバスに乗り込んだ7人は、久々の開放感を満喫、若者とカーチェイスしたり珍道中を繰り広げます。しかし誰にも言えない秘密を抱えたチョウさんは次第に様子がよろしくなくなって……。