『複製された男』の原作者ジョゼ・サラマーゴ(1922‐2010)は、ポルトガル語圏でノーベル文学賞を受賞した唯一の作家であり、「修道院回想録―バルタザルとブリムンダ」(82)と「白の闇」(95)で国際的な注目を集めた世界的な作家です。「白の闇」はブラジル人映画監督、『シティ・オブ・ゴッド』(02)のフェルナンド・メイレレスにより、2008年に『ブラインドネス』というタイトルで映画化されました。

『複製された男』は、サラマーゴの23冊目の小説であり、英題は“The Double”、ポルトガル語では“O Homem Duplicado” (翻訳すると『複製された男』の意)という題で2002年に出版されました。この原作本は、27ヶ国で出版され、アメリカでは7万部が売れたが、伝えられるところによれば、サラマーゴはある朝髭を剃っていて、鏡に映る自分を見た時に小説のアイディアを思いついたとのこと。

『複製された男』は批評家にも好評で、読んだ人たちの間ではたちまち名作と言われるようになり、 かのニューヨーク・タイムズ紙は、「『複製された男』をサラマーゴの最高傑作とみなしたい誘惑にかられている…。寓喩が完璧に制御されている。」と評したほどです。

数多くの映画や小説で扱われてきた“もうひとりの自分”というモチーフを、かつてない独創性と寓意をこめて探求した衝撃的なミステリーです。

映画の方は、昨年のトロント映画祭で初上映後、カナダ・スクリーン・アワード5冠を達成するなど、高い評価を得ています。

主人公のアダムとアンソニーをひとり２役で演じきるのは、『プリズナーズ』でも監督とコンビを組んだジェイク・ギレンホール。ふたつのキャラクターの孤独、混乱、狂気をこのうえなく繊細に表現。アダムのセクシーな恋人メアリーには『イングロリアス・バスターズ』のフランス人女優メラニー・ロラン。アンソニーの身重の妻ヘレンに『危険なメソッド』のカナダ人女優サラ・ガドン。

原作を読んでから見るか、見てから読むか……。こちらの原作本を3名様にプレゼントします。