美人で才気煥発、言語学者で大学教授と華々しいキャリアを積み、医学博士の夫と結婚、設けた一男二女の子どもたちを育てたアリス。大学近くニューヨークの中心地に住み、誕生日は家族に温かく祝ってもらうという、まさに人生の充実期の日々を送っていた。長女のアナと医学院生の長男のトムは満帆。唯一の心配はロサンゼルスで女優を目指して活動する次女のリディアだけ。そんなアリスを襲ったのは若年性アルツハイマーという病。

最初はちょっとした言葉が思い出せないことからはじまった症状は、ランニング、クッキング、授業、といった日常生活が少しづつできなくなり、次第にある期間の記憶がすっぽり抜け落ちるように。

記憶が失われていく中で、自分が好きなものも忘れてしまった自分は、もはや自分ではないのか？　病を告白した時、愛する人たちはどのように振る舞うのか？　記憶が失われていくことはどのような事態を引き起こすのか？　家族はどのように接するべきなのか？　……などを考えさせるシリアスな内容ながら、美しい映像と繊細なピアノ、ストリングスの音楽でやさしいタッチで描きます。

アカデミー賞を受賞した主演のジュリアン・ムーアの熱演に、次女リディア役のクリステン・スチュワート、妻をこの上なく愛しているが自分のキャリアも気なる夫ジョン役マイケル・ボールドウィンも繊細な感情表現で応戦しています。

原作はニューヨーク・タイムズ誌のベストセラーランキングに40週間ランクインしつづけたリサ・ジェノヴァの同名の小説。監督はリチャード・グラッツァー＆ウォッシュ・ウェストモアランド。ALS（筋萎縮性側索硬化症）と闘いながらの撮影に臨んだリチャード・グラッツァーでしたが惜しくもつい先日、逝去。重篤な病と向き合った監督の思いが込められた胸に迫る作品です。

こちらの一般試写会に5組10名様をご招待します。