ウィーン象徴派の巨匠グスタフ・クリムトの傑作『アデーレ・ブロッホ＝バウアーの肖像 』。「黄金のアデーレ」と呼ばれオーストリアのモナリザとしてオーストリア・ギャラリーに置かれていたその名画には、もともと持ち主がいた‥‥半世紀を経て改めて本来の持ち主たることを名乗り出た女性マリア・アルトマン、82歳。 『黄金のアデーレ 名画の帰還』はそのマリアとその弁護士　ランディが名画を取り戻すまでを描いた作品です。

洋品店を営みながらアメリカに暮らすマリアは、オーストリア“政府”に対して「黄金のアデーレ」を「私に返して」という驚きのを訴えに出ます。巨匠クリムトのキャンバスの前に立つそのモデル、美しい叔母　アデルの姿を今も鮮明に瞳に焼き付けた記憶を持つマリア。その絵が置かれていた部屋、暮らしていた家、親密で愛しい家族の思い出‥‥ナチスの軍靴の響きの中で大切なものすべてを奪われた彼女が、名画を取り戻す戦いの中で本当に取り戻したものとは‥‥？　

マリア演じるヘレン・ミレンと、孫ほども年の違う弁護士を演じるライアン・レイノルズのコンビネーションが見事。胸を締め付けられるような深い悲しみをプライドとユーモアセンスで乗り超えてきたマリアと、その毒舌に辟易しながらも支えラストには引っ張っていくことになる不屈の精神の青年　ランディのふたりのやりとりに知らず知らずのうちに引き込まれます。

こちらの作品の試写会に5組10名様、ご招待です。