1958年、イギリスのマイケル・ボンドが発表してから世界中で愛される児童文学『くまのパディントン』。誰もが一度は読んだことがあるであろう物語の、あの「クマ公」が3Dで動き出す！　

その昔、南米のジャングルで英国人探検家が喋るクマのカップル　ルーシーとパストゥーゾと親交を結んだと報告する記録映画から物語がはじまります。探検家が残した赤い帽子をかぶり大好きなマーマレードのジャムを詰め込んだスーツケースを手に、甥っ子グマが英国へ。右も左もわからないロンドンで呆然としていると、ブラウンさんの一家が親切に助けの手を差し伸べてくれます。パディントン駅にいたからパディントンと呼ばれることになり、たよりにしている探検家を探しあてる間、家へ滞在するようにとブラウン夫人は言うのですが、パパのブラウンさん、娘のジュディは喋るクマなんて、とけげんな様子。

ひょんなことで泥棒逮捕に協力、一挙に街のアイドルになってしまったパディントンは、すこしずつ一家に溶け込んでいくのですが、パディントンには危険が迫っていたのです……！

帽子にダッフルコートの懐かしい姿に加えて困ったり、失礼な人を睨みつけたりの細かい表情、風にそよぎ、水びたしになり、時にはドライヤーで乾かしすぎる毛並みのディテール……まるでヴィンテージのテディ・ベアが動き出しているよう。喋る言葉は正調ブリティッシュ・イングリッシュ、その声はロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身の　ベン・ウィショー。コロっとしてかわいいその姿とは裏腹に、折り目正しい礼儀を身につけたジェントル・クマのパディントンに意外とぴったり！　で驚きです。

おなじみの登場人物はみんな、ちょっとしたこだわりを曲げられない変わり者ぞろい。なんでも堅実＆正確にやりたがるブランさんを『ダウントン・アビー』のヒュー・ボネヴィル、挿絵画家でママになっても夢見がちなブラウン夫人を『ブルー・ジャスミンの』サリー・ホーキンス、ちょっと意地悪な隣人カリーをピーター・ガリバルディ、お酒が大好きな家政婦　バードさんをジュリー・ウォルターズが演じています。

パディントンが現れる先で音楽を奏でているラテン・テイスト・バンドはカリプソ・バンド、D-LIME。南米ペルー出身のパディントンに、カリプソを合わせるというセンスもイギリス映画ならではでしょう。

監督は人気TVコメデ『マイティ・ブーシュ』シリーズで知られるポール・キング。制作は『ハリー・ポッター』シリーズ全作を手がけたデヴィット・ハイマン。本作は2014年英国アカデミー賞作品賞、脚本賞にノミネートされています。

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