ウディ・アレン監督最新作『マジック・イン・ムーンライト』は、1920～30年のヨーロッパ、ジャズ、チャールストンダンス、マジック、妖しい交霊会……とアレン監督お気に入りのアイテムに満ち満ちたキュートなロマンチック・コメディです。

1928年のベルリン。劇場でマジックを披露する妖しい中国人ウェイ・リン・スー。摩訶不思議な彼のマジックは話題を呼び、カリスマ的人気を誇っています。しかし実はその正体はイギリス人の天才マジシャン　スタンリー・クロフォード（コリン・ファース）。ある夜、彼の幼なじみハワード（サイモン・マクバーニー ）が現れ相談を持ちかけます。それはアメリカから訪欧中の占い師　ベイカー母娘は、明らかにマジックのタネを使用している、でもどうしても見破ることができないから手を貸してくれ、というもの。

しかもその娘は大富豪カトリッジ家の息子ブライス（ハーミッシュ・リンクレーター）をたぶらかしているだけでなく、未亡人グレース（ジャッキー・ウィーヴァー）の亡夫の霊を呼び出す交霊会を行って、未亡人の心をも掴んでいる。筋金入りの合理主義者のスタンリーは、新手のスピリチュアル・パワーの使い手に異様な闘志を掻き立てられ、そのペテンを暴こうとかトリッジ家に乗り込みます。ところが占い師の娘　ソフィ（エマ・ストーン）は抜群にチャーミング。そして次々とスタンリーの生い立ち、恋人、何から何まで言い当ててしまいます。どうするスタンリー？

アレン監督ならではのシニカルな笑いが随所にきいていて、その小さな皮肉が重なれば重なるほど、ラストが輝く三段逆スライド方式の面白さ。こちらの試写会にご招待します。