メディア・パブ 浮き沈みがくっきり
オンラインメディア

(2013.02.07)


 

伝統メディアからオンラインメディアへ。アメリカのメディア産業に携わる人や組織は、活躍の場をシフトさせている。アメリカ労働統計局(BLS;the Bureau of Labor Statistics)が発表したレポート“Media and Information”によると、衰退する伝統メディアに関わる労働者や組織数は年々大きく減り続けているのに対して、インターネットパブリッシングの 労働者や組織数は増え続けている。

アメリカの情報(メディア)産業の労働人口は、2001年あたりをピークにして下げ止まらない。多くの雇用を生み出していたパブリッシング分野(新聞や雑誌/本のプリントメディアなど)やテレコム分野における労働者の減り方が大き過ぎるためである。

BLSは情報産業を次の56 分野から成るものと定義している。各分野の2001年と2011年の労働者数は以下の表のようになる。ただ一つ労働者数が増えている分野であるOther  information servicesは、「Internet publishing and broadcasting and web search portals」が中心となっており、つまりオンラインメディア分野である。この分野も2001年のネットバブル崩壊で労働人口は一時急落したが2005 年ころから増え始めている。ただし、2011年になっても16万人前後と規模が小さく、テレコムなどの他分野の落ち込みを全く補えていない。やはりオンラ インメディアの台頭は、メディア全体の労働人口を減らす方向に働いているのか。

またBLSは次の8分野について、この10年間の労働者数と組織(会社など)数の推移をグラフで示している。ここでは4分野のグラフを掲げておく。

Internet publishing
Television broadcasting
Motion picture and video production
Motion picture and video exhibition
Radio broadcasting
Newspaper publishing
Sound recording industries
Book, periodical, and music stores

新聞産業は2005年ころから、労働者数だけではなくて組織数も急落している。

音楽メディア産業も、インターネットの台頭で、労働者数も組織数も下げ止まらない。

本、雑誌、音楽の販売店で働いている労働者数も、そして店舗も、当然のように減り続けている。

インターネットパブリッシング産業は労働者数も組織数も増えてはいるが、労働者数の増え方がこのレベルでは……。

(2013年02月03日)

参考
・Media and Information(The United States Bureau of Labor Statistics)
・Gov. stats: Median salary for reporters $35K, $52K for editors(Poynter.)

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