メディア・パブ英老舗出版社ピアソン、
急成長のデジタル事業で増収増益に。

(2012.02.29)

新聞や書籍のプリントメディア産業は、先進国を中心に長期低落が続いている。プリントからデジタルへのシフトに多くのメディア会社が注力しているが、必ずしもうまくいっていない。プリント時代のリソースやノウハウが足かせになったり、デジタル化により収益性が悪くなりがちであるからだ。

でも1844年に創業した老舗出版社Pearson(ピアソン)はデジタルシフトに成功したようだ。今やデジタル事業が成長エンジンとして働き、2011年の増収増益に貢献した。英国に本部を置きグローバル展開している同社は、教育事業の大手であり、FT(フィナンシャルタイムズ)やペンギンブックの発行元でもある。

同社の2011年の売上高と営業利益を、以下に示す。

*Pearsonの2011年売上高(1£=約127円)

*Pearsonの2011年営業利益

3本柱の教育(Education)、FT(FT Group)、ペンギン(Penguin)のいずれも、デジタル化を加速化させ収益を向上させた。同社の総売上高のうちデジタル売上高が占める割合は年々高まっており、昨年のデジタル売上高は20億ポンド(約2480億円)で33%となった。

*Pearsonのデジタル売上高比率の推移

デジタル化の成果は次の通り。教育事業では、同社のデジタル・ラーニング・プログラマーを利用する学生が前年比23%増の4300万人となった。またFTでは、デジタル購読者数が以下のように前年比23%増の26万7000人に達した。FTの購読料収入の44%をデジタル購読に頼っている。

*FT.comのデジタル購読者数の推移

ペンギンの電子書籍(デジタル書籍)も以下のグラフのように販売件数が急成長しており、売上高で前年比106%増となった。ペンギンの売上高の12%を占めるようになった。

*Penguin(ペンギン)グループの電子書籍の販売部数(米市場)

このように、デジタル事業がPearson(ピアソン)の牽引役を担うようになってきたのは間違いない。同社自身も、2012年にはデジタルとサービス事業の売上高が伝統的な出版事業(プリント事業)の売上を追い抜くと見ている。

(2012年02月28日)