メディア・パブワシントン・ポストのiPadアプリ、
有料化前の大盤振る舞い

(2013.04.01)


 

ワシントン・ポスト(WaPo)が今年夏にもデジタルコンテンツの有料化を実施することになった。有力クオリティー・ペーパーながら無料オンラインサー ビスを貫いていたWaPoもついに、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やニューヨーク・タイムズ(NYT)に続いて、課金の壁を設けることに なった。

その有料化サービスに向けて早くも、WaPoのiPadアプリ(The Washington Post for iPad)のデザインが刷新されていたので、早速アプリをダウンロードして使ってみた。日本からも利用でき、ダウンロードするとWaPoがNewsstandに置か れる。NewsstandのWaPoをクリックすると、次のような電子版のTop Storiesページが現れた。右上の“Sections”をクリックして選択することにより、Top Stories以外の8分野(Politics、Opinions,localなど)の各ページに辿りつく。

左上の“Print Edition”をクリックすると、毎日のプリント版WaPo(新聞紙)のレプリカが閲覧できる。過去2週間の指定日の新聞紙記事全てがそのまま閲覧できる。

中央下のアイコンをクリックすると、ブログ/コラムや漫画(コミック)、それにフォーラムへの案内アイコンが現れる。ブログ/コラムは、8つの分野別に複数ブログが存在する。下の例では、WaPoの看板ブログとなっているWonkblogをBusiness分野から選んでいる。コミック欄では、50種以上の漫画を閲覧できる。

フォーラムは、政治分野とスポーツ分野が用意されていた。政治分野では、自前の政治記事やブログ記事だけではなくて、外部のABC、CNN、Fox、Politico、NYT、NBC、CBSなど最新記事がツイートの形で掲載されていた。

例えば競合新聞のNYTの政治記事やブログ記事にも直接アクセスできた。また、トピック別(経済、ヘルスケア、エネルギー/環境)の記事も探せるようになっている。

政治分野では、政治記事や政治家発言などの内容について事実関係の調査のニースが高いが、ここでもWaPoのチェックだけではなくて、外部のPolitiFactやFactCheck.orgの実情調査記事が紹介されている。

また、ブログやトピック別のコーナーでは、ユーザーによる記者やブロガーの絞り込み(フィルタリング)も行える。電子版の記事はこれまで通り、ツイッターやフェイスブック、メールで他人と共有できる。 ともかく、iPadアプリを介して、過去2週間分の新聞紙の全てが、イメージの形で無料閲覧できる。現在、シングルスポンサーが付いており、夏までこの大盤振る舞いを続けてくれるのか。また電子版もかなり充実しており、インターフェイスもシンプルで使いやすい。

(2013年03月27日)

参考
・The Washington Post to charge frequent users of its Web site(The Washington Post)

関連記事
・ワシントン・ポストも着手したネイティブ広告[2013-03-19]
・米有力新聞のNYT,WSJ,WaPo,サイトの開放化がまた一歩前進[2008-07-02]
・グーグルが米有力新聞NYT/WaPoと始める「将来のニュース」プロジェクトとは[2009-12-10]
・グーグル,有力な新聞/雑誌/ブログサイトとの連携深める[2009-12-17]
・動きの鈍いマードック陣営に対し,動きの速いグーグル陣営[2009-12-15]
・NYTのiPad版電子新聞、全記事無料公開しながら有料化への準備を[2010-10-16]
・NYタイムズ・サイトの「課金の壁」、なぜ抜け穴だらけなのか[2011-03-26]
・WSJ Social、Facebook上でキュレートした新聞コンテンツを配信へ[2011-09-21]
・“Blogrunner”がNew York Timesサイトの裏玄関に[2008-07-28]
・ネットの世界で影響力抜群の新聞社サイトはNYタイムズだが[2010-10-20]

メディア・パブ