メディア・パブ 人気沸騰のフェイスブック対応
ソーシャル・ビデオ・アプリ

(2012.05.11)


 

フェイスブック対応のソーシャル・ビデオのモバイルアプリが、この半月ほどの間に爆発的にアクティブユーザー数を増やしている。その代表的なアプリが、ViddySocialcamである。AppDataが公表しているMAU (monthly active users)とDAU (daily active users)を見れば、その人気沸騰ぶりが分かる。

以下のグラフでは、フェイスブックでの両アプリのMAUとDAUがそれぞれ、4月3日から5月3日までプロットされている。5月3日時点でのMAU(月間ユニークユーザー数に相当)は、Viddyが2800万人でSocialcamが2530万人である。

このような人気が突如出てきたのには、それなりの背景がある。4月の上旬に電撃的にフェイスブックが10億ドルでInstagramを買収したことが起爆になった。InstagramはFacebookやTwitter、Tumblrのソーシャルメディアで手軽に写真共有が実現できるモバイルアプリである。もともと人気アプリであるため、既にフェイスブックの買収発表前に3000万人もの会員を抱えていたが、買収後に一段と注目度も高まって毎週500万人が加入しており、現在会員数が5000万人を突破したという。Facebookのタイムラインで友達と写真を共有できるため、Facebookでのアクティブユーザー数も以下のグラフのように順調に伸び活性化している。

この写真共有アプリのInstagramの人気が、ビデオ共有アプリのViddyやSocialcamに飛び火したのである。多くのフェイスブックユーザーがInstagramのビデオ版とも言えるサービスに飛び付いたのだ。この1週間に限定すれば、FacebookにおけるViddyやSocialcamのアクティブユーザー数はInstagramをはるかに上回った。いずれ過熱気味のビデオ共有アプリの人気も沈静すればInstagramが再逆転するだろうが、スマートフォンなどで撮ったビデオクリップをフェイスブックで友達と共有することが広く浸透してきているのは間違いない。

また、これはIPO直前のフェイスブックが仕掛けた動きとも言える。4月末に米証券取引委員会へ提出したIPO申請の修正報告書の中で、同社の将来性でモバイル分野が成長エンジンになることを強調している。モバイル端末からFacebookにアクセスしているユーザー総数が世界で5億人に達したという。それに合せて最近、ものすごい勢いでFacebookでのモバイルアプリの利用が増えている。4月にはFacebookから1億6000万人以上のビジター(訪問者)をモバイルアプリに送り込んだ。2月末には6000万人であったから、2ヶ月間で3倍近くも増えた。また4月のモバイルアプリへのビジット件数(訪問件数)は11億件を超え、2月末の3億2000万件から3倍以上も増えた。この流れを加速させるためにInstagramを買収したのだろう。ViddyやSocialcamの驚異的なアクティブユーザー数の伸びは、明らかにこの流れを加速させている。

この流れに乗って、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏もViddyのアカウント(http://www.viddy.com/zuck)を取り、愛犬のビデオをアップしていた。