メディア・パブCIAリークのトップジャーナリスト、ニュースメディア立ち上げへ

(2013.10.23)

英ガーディアンのコラムニストであるグレン・グリーンワールド氏が、ガーディアンを去ることになった。同氏は、CIA(中央情報局)元職員、エドワード・スノーデン容疑者からの資料などをもとに、政府の監視問題を暴露するジャーナリストとして有名である。

花形コラムストがガーディアンを辞めることが、スクープの形でBuzzFeedなどに漏れたため、あわてて今朝、彼がツイッターで”My statement and the Guardian’s”とつぶやくとともに、ガーディアンサイト内に彼と同社からの短い声明文が掲載された。彼の声明では、新しいニュースメディアのベンチャーを立ち上げることを明言しているが、詳細をまだ明らかにしていない。

スノーデン容疑者からの機密資料をもとに監視プログラムを暴露する形のグリーンワールド氏の報道活動に対し、批判の声も少なくない。当然のことだが、米国や英国の当局からも強い圧力がかかる。8月には彼のパートナーが、英当局により対テロ法に基づきロンドン・ヒースロー空港で身柄を拘束され、暴露記事について尋問されたという。

それでもガーディアン紙はグリーンワールド氏の暴露記事を掲載続けてきた。同紙は、ウィキリークスやニューズ社電話盗聴に続いてスノーデン告発と、際立った調査報道を連発し、グローバルに高く評価されてきた。でもBuzzFeedの記事によると、グリーンワールド氏はガーディアンの典型的な記者として機能しなくなっているという。彼が得たスノーデン文書は完全に新聞社と共有していないのだ。彼しか知らない機密情報があるということである。ガーディアン紙は最近になって、英国政府の強い圧力のせいか、グリーンワールド氏の記事を慎重に掲載するようになっているようだ。一方で、彼はインドやブラジルで独自の記事を投稿したり、近く仏紙ル・モンドにも掲載する予定である。

彼がガーディアンを辞める決断を下したのは、ジャーナリストとして千載一遇のチャンスを逃がしたくないとの思いを抑えきれなくなったからのようだ。人権問題や報道の自由などを強く主張する弁護士であり、運動家でもある彼にとって、伝統新聞のジャーナリストとして行える調査報道の限界を感じ取ったのか。挑戦の舞台として新しいニュースメディアを立ち上げることになっている。Politicoによると大物慈善家(philanthropist)の後ろ盾がいるようだ。Rutersの記事では、eBay創立者Pierre Omidyar氏が資金を提供するという。

(2013年10月16日)

参考
Exclusive:GlennGreenwaldWillLeaveGuardianToCreateNewNewsOrganization (BuzzFeed)
Exclusive:GreenwaldexitsGuardianfornewOmidyarmediaventure (Reuters)
みんながメディア、ではジャーナリストはだれ? (新聞紙学的)

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