メディア・パブ暴動の火種となっている貧富格差、
OECDのデータでも拡大が浮き彫り。

(2011.12.07)

貧富の格差が拡大している。OECD(the Organisation for Economic Co-operation and Development)の調査結果でも、先進国を中心に世界各地で格差が拡大している。

OECD諸国の貧富ギャップ(所得格差)とジニ係数とは次のようになる。ここでの貧富ギャップは、人口の上位10%の富裕層と下位10%の貧困層との平均 所得の倍率(比率)である。OECD平均では、約9倍(9;1)の格差となっている。ドイツやデンマーク、スウェーデンのような伝統的に平等が進んでいた 国でも所得格差が、80年代の5:1から現在では6:1に拡大している。イタリアや日本は10:1に拡大。日本の場合、1985年の7倍、90年代半ばの 8倍から,現在の10倍へと拡大が進んでいる。過去 25 年間に実質平均家計所得はやや増えた(年率 0.5%未満)が、日本の下位 10%の実質平均家計所得はやや減少した結果である(OECDの資料より)。

ジニ係数は格差を示す標準指標である。高いほど格差が大きい。OECD諸国における生産年齢者の平均ジニ係数は、80年代半ばで0.29であったのが、2000年代後半に0.316に高まった。

注(OECD資料より):ジニ係数は0(全ての人の所得が同じ)から1(1人の大富豪が全所得を独占)までの値をとる。市場所得は稼働所得+資本所得+貯蓄。 可処分所得は市場所得+社会給付-所得税。所得は家計の人数について調整済。データは生産年齢人口のもの。

次は、幾つかの国における、ジニ係数の推移である。もともと貧富の格差が非常に大きかった国は少し格差が是正されているが、やはり明確なのは先進国での格差が着実に広がっていることだ。


次は、先進国における上位1%の総所得構成比の推移である。日本においては、上位1%の富裕層の所得が総所得に占める割合が1980年の7.2%から 2005年の9.2%と比較的穏やかな上昇で済んだ。米国では、上位1%の富裕層がますます豊かになってきており、国民の総所得の20%近くを占めるよう になっている。

ソース:Alvaredo、OECD


それなのに、多くの先進国では最高限界所得税率が60%~70%から40%へと著しく低下してきた。 太る一方の富裕層と痩せる一方の貧民層の流れが、WS占拠デモの一因にもなっている。


保健医療、教育、介護などの公共サービス関連支出は次のようになる。日本は GDP 比で約 12%。OECD 平均の 13%より低い。ただし、上位 20%の所得層の租税負担率は 24%で、OECD 平均の 37%より低くなっている。


最後に、OECD提供のビデオを貼っておく。

(2011年12月06日)

 

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