ハイネケンのキャンペーン広告、
出発ルーレットで驚きの旅先を

(2013.07.29)

オランダのビール会社ハイネケン(Heineken)が仕掛けた広告企画が話題になっている。

ニューヨークJFK国際空港の8番ターミナル近くで出発待ちをしている旅行者が、「ハイネケンのスポンサーで、海外の見知らぬ土地に行ってみませんか」とのトンデモナイ誘いの声をかけられた。7月初旬の5日間の出来事であった。その誘いに応えた冒険心旺盛な人が、8番ターミナルに設置されている”Departure Roulette”(出発ルーレット)のボタンを押すと、ランダムに選んだ旅先が指定され、その目的地に飛び立つことになる。その旅人は、航空券と旅先の宿泊料、それに2000ドルを、スポンサーのハイネケンから受け取る。

でも旅行者は海外の特定の国に出かけるために国際空港に来ているわけだから、こんな誘いに乗る人なんかいないと思われるかもしれない。ところが実際にこのプロジェクトに参加し、行先を予定地から急きょ変更して、新しい目的地に飛び立った人がかなり現れたようだ。その様子は、張り付けた下のユーチューブのビデオで視聴できる。

ルーレットのボタンを押す前に、参加者はルーレットが指定した旅先に必ず行くことを約束させられる。そして、予定していた旅行のキャンセルについてはスポンサーは補償しない。それでも、キプロス、ラオス、ポルトガル、タイなどのおそらく未知の土地に無料で行け、さらに宿泊費や2000ドルのお小遣いまでも貰えるのだから、気ままな旅行者で好奇心が旺盛な人なら、飛びつくかも。

世界中でビールを販売しているハイネケンとしては、飛び先を含めた世界のどこでも親しめるブランドにしていこうとする狙いなのだろう。同社はすでにHenineken’s “Dropped”と称するキャンペーンを進めており、そこでは目隠しされて世界の未知の場所に降り立たされた(時にはヘリコプターで下す)4人の男性が冒険する様子をビデオカメラで追い、それをオンラインシリーズとして流している。世界の未知の場所に旅行者を送り込む”Departure Roulette” も “Dropped”を後押しする役割もある。それにしても、これから海外に出かけようとしている人が、次々とルーレットに身を任せるとは。さくらの人も交じっているのかな。

空港内で”Departure Roulette”を実施している様子を伝えるビデオ(Heineken | Departure Roulette)がユーチューブに7月18日から公開されている。4日間だけで140万回も視聴されているのだから、この企画は成功したと言えそう。さらに昨日あたりから主流メディアでも数多く伝えられ始めているので、大成功かも。

(2013年07月23日)

参考
・‘Departure Roulette’ Sends Travelers to Surprise Destinations (Time)
・In a Marketing Stunt, the Destinations Are Unknown (NYTimes.com)
・Heineken | Departure Roulette (YouTube)

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