メディア・パブMIT授業のオンライン版、
最初の講座が無料で3月から開講。

(2012.02.17)


 

米Massachusetts Institute of Technology (MIT)キャンパスの授業を、世界の学生が無料でオンライン受講できるようになる。

昨年末に予告していたように、新しいオンライン授業を3月5日から開講することになった。また同大学から履修者には証明書が与えられる。同大学は10年前からOpenCourseWareを提供してきたが、そのシステム技術をベースに世界中から利用できるように改良したという。

 

最初の講座として、エレクトロニクスコース「6.002x: Circuits and Electronics」を3月から開始する。同大学の実際のキャンパスコース 「6.002x」をベースにしたオンラインコースで、事業内容のレベルもキャンパスの授業と合わせるようだ。

今回の講座は、MITxと称するオンラインプロジェクトのプロトタイプとして位置づけている。オンラインのインターラクティブコースとして設計されており、試行錯誤的に進めていくのだろう。今週月曜日(2月13日)からこちらで登録申し込みが始まっている。学部学生向けの入門レベルの授業で、受講のための入試試験は特にない。ただし、アナログ電子回路の授業もあるので、微分方程式などの数学的な基礎学力を備えている必要がある。今回のプロトタイプに続くオンラインコースは、2012年秋からになる予定。

受講生は毎週ビデオ講義を受ける。期間は2012年3月5日から6月8日までの3ヶ月間。「6.002x」の教科書は「Foundations of Analog and Digital Electronic Circuits」, by Anant Agarwal and Jeffrey H. Lang. Morgan Kaufmann Publishers, Elsevier, July 2005. であるが、講義の中で使う部分は電子版で無料付与される。受講生はコースの履修のために平均して毎週10時間くらい費やすることが期待される。パイロットコースなので、いろいろ試されそう。受講生同士のコミュニティーも備える。宿題や実習も毎週のように課せられそうなので、楽ではなさそう。
MITの授業が無料で受講でき、さらに大学から履修証明書がもらえる。米国のトップクラスの大学の年間授業料は平均すれば5億ドルを超えるだけに、タダのオンラインコースに流れてしまうのではと心配するのだが。でも、キャンパスコースとオンラインコースの履修証明書を差別化するようだし、またオンラインコースにはフリーミアムのような仕組みを入れていくのではなかろうか。それよりも世界中の優秀な学生をオンラインコースで発掘し、彼らをキャンパスコースに呼び込んでいくのが、狙いなのかも。

MITx 6.002x Introduction

追記:「6.002x: Circuits and Electronics」の授業内容
resistive elements and networks; independent and dependent sources; switches and MOS transistors; digital abstraction; amplifiers; energy storage elements; dynamics of first- and second-order networks; design in the time and frequency domains; and analog and digital circuits and applications.

(2012年02月16日)