メディア・パブ米雑誌の2011年広告売上、
前半上昇したが後半失速。

(2012.01.13)

米国雑誌の2011年広告売上は、前半に回復基調で伸ばしたが後半は失速し、結局前年並みにとどまった。

米雑誌の2011年広告売上 データが米PIB(Publishers Information Bureau)から公表されたが、それによると昨年の年間広告売上高は201億ドル と、2010年と同レベルに収まった。また広告ページ数は前年比3.1%減と再びマイナス成長に落ち込んだ。米国の雑誌や新聞のプリントメディア産業は、 リーマンショック以降に広告大不況に襲われ、かつてないほどに売上が急落下した。それでなくても、長期低落で構造的な不況業種になりつつあっただけに、店 じまいする雑誌や新聞は相次いだ。それでも、景気回復に伴い2010年後半あたりから薄日が差しかかった。新聞は相変わらず前年割れから脱却できないでい たが、雑誌はリバウンドし回復基調に乗り出していた。特に2011年上半期は、売上高が前年上半期に比べ3%増、広告ページ数でも1.3%増と、回復が本 物と期待を膨らませていたのだ。

それがEU危機などにより世界経済に暗雲が漂い、米国雑誌にも早くも悪影響が出てきたのだ。2011年 第4四半期には、広告売上高が前年同期比で5%減となり、広告ページ数では同8%減と、完全に失速状態に落ち込んでしまった。今年は、ロンドンオリンピックと米大統領選の大イベントが控え、雑誌業界も飛躍を期待していたのだが、さてどうなるやら。


次は、米国の代表的な雑誌の、2011年の広告売上高と広告ページ数を、2010年実績と合わせて示す。米国の雑誌は、広告売上に大きく依存しているので、広告売上高の変化は重要である。

トップの「People」は10億ドルを割ってしまった(それでも、1雑誌で10億ドル前後の広告売上高とは凄いのだが・・)。第2位の「Better Homes & Gardens」は前年比14.1%減とブレーキがかかった。

ビジネス誌はまずまずだが、Bloombergに買収された「Business Week」誌が見事に返り咲いているのが目立つ(29.4%増)。女性誌 は大半が好調だ。「Vogue」や「Vanity Fair」は2桁成長を成し遂げた。また「National Geographic」、 「Reader`s Digest」のような保守的な老舗雑誌が、この混乱の時勢に広告売上を伸ばしているのが、なんとなく興味深い。

 
 

次は、ジャンル別の広告売上と広告ページ数である。もの凄く落ち込んでいた金融と不動産が反動で伸びているのが目立つ。それと化粧品関連が9.5%増で、シェアで断トツで独走している。女性誌が好調なのもそのせいか。

(2012年01月12日)