メディア・パブ 電子書籍市場、
米国が独走

(2012.06.20)


 

世界の電子書籍市場で米国が独走している。PwCの「2012 Global Entertainment & Media Outlook:2012-2016」で示されていた世界の電子書籍市場の予測でも、米国が完全に上昇気流に乗ったようだ。世界の書籍市場において、電子書籍の占める割合は2011年の4.9%から2016年には17.9%に膨れ上がる膨れ上がる。年平均成長率30.3%で伸び続け、2016年には世界の電子書籍市場規模は208億ドルに達すると見ている。

まず、コンシューマー向け電子書籍の市場規模の予測を、地域別に見てみよう。北米(ほとんど米国)がトップを独走している。2009年ころまでアジア・パシフィックがトップを走っていたのは、日本におけるケータイ向けエッチ系コンテンツ中心の電子書籍が貢献していたからだろう。また意外だが、北米に比べ欧州の立ち上がりが遅い。

電子書籍市場にはコンシューマー向けと教育向けがあるが、北米(ほとんど米国)における予測は次のようになる。コンシューマー向電子書籍は年間平均成長率32,2%で伸び、一方教育向けは同20.5%で伸びる予定。両方を加えた全体では同29.9%で伸び続け、2016年には129億ドルに達する。

アジアでは日本が伸びていくと予測している。これまで韓国では、コンシューマー書籍の24,2%が電子書籍が占めるほど電子化が進んでいたが、今後は電子化の速度が鈍ると見ている。

日本ではこれまで電子雑誌と言ってもエッチ系コミックが闊歩していたようだが、米国はどうなのか。最近の状況を覗いてみた。NYTimesのベストセラー覧でランクされていたハードカバー小説のトップ5を調べてみた。すべて電子書籍版が出ていた。トップの「KISS THE DEAD」, by Laurell K. Hamilton. (Berkley, $27.95.) を米国のアマゾン書店サイトに飛ぶと、アマゾン価格でハードカバー書籍が16.25ドル、電子書籍(ダウンロード)が12.99ドルで販売されていた。

現時点でトップ5のベストセラー小説の、ハードカバー書籍と電子書籍の販売価格を以下に示しておく。5位の「Spring Fever」のキンドル版電子書籍は単体では売られていないようだ。

*NYTベントセラーでトップ5となったハードカバー小説。ハードカバー書籍と電子書籍のそれぞれのアマゾン価格を掲示している。

米国では最新のベストセラーを始め多くの書籍が揃っており、ハードカバー小説でも約1000円(12.99ドル)ですぐにダウンロードできる環境が整っている。これならすぐに飛びつくのだが。