メディア・パブSNSのトレンドを先取り Pinterest 、
女性ユーザーを虜にする。

(2012.01.11)

ソーシャルメディア界隈で昨年後半から、頻繁に話題にあがるようになったのがPinterest。 米国では特に、若い女性層を中心に人気が急上昇している。

Pinterestは画像に特化したバーチャルなピンナップボード・サービスである。ネット上で見つけられたユーザーお気に入りの画像が貼り付けられてお り、共通のボード(Pinterest)をスクロールするだけでも楽しめる。ファッション、レシピ/食、アート、デザイン、ヘアー/美容、ガーデニング、 旅、ペット……などなど、生活に関わるあらゆる分野の画像(写真、イラスト、時には動画も)が満載されている。ソーシャルキューレートされたおもしろい 画像を見ていけば、生活のためのアイデアやインスピレーションが湧いてくるというわけだ。

なぜ女性がPinterestにハマっていくのか、それを知りたければこちらの記事を 読めば納得できるかも。Pinterestの女性スーパーユーザー15人へのインタビュー記事である。仕事から解放されると、毎日のように Pinterestサイトにアクセスしている人が多いようだ。毎日30分から1時間ほど利用する女性も珍しくない。いろんな画像を見ていくことにより、料 理の献立とか、試してみたいヘアースタイル、友人に贈ってみたいギフト、子どもとの遊び方、行きたい旅行先、購入したいガジェットなどなど、リアルの日常 生活をもっと楽しむためのアイデアが次々と浮かんでくるという。

ネットのアーリアドプターだけではなくて、一般の女性からの熱い支持もあって、昨年の夏ころからユーザーが急激に増えてきている。Competeの調査データによると、月間ビジター数が2011年11月には約450万人に達 し、1年間で100倍近くにも爆発的に急増している。現時点では500万人を超えているだろう。

Experian Hitwiseのデータによる週間ビジター数は2011年12月17日に1100万回となり、半年間で40倍にもなった。 

そして、フォーラム系を含めたSNSを2011年11月の月間ビジター数で比較すると、表のようにPinterestは一気にランキングのベスト10に浮上してきた。

またPinterestの特徴は、ビジター当たりの利用時間が長くなる傾向がみられることである。多くの女性ユーザーが熱中し長く利用しているのではなか ろうか。Hitwiseの調査結果でも女性ユーザーが幅をきかせていた。過去3ヶ月間にPinterestにアクセスしたビジターの58%が女性であっ た。またそのうちの59%は25歳-44歳であった。

Pinterestinの見逃せない特徴として、コンテンツ作成にユーザーの負担がほとんどかからないこともある。ほとんどボタンをクリックする程度で済 むからだ。Elad Gill氏がブログで描いた以下のグラフのように、これまでの代表的なソーシャルメディア・サービスを見ていくと、時代と共にコンテンツ作成が容易になってきている。

ブログはフォームもかなり複雑だし、ある程度の文章を書かなければならない。外とのやり取りも、トラックバックとかコメントとかを介して行い、面倒くさ い。コンテンツ作成する一般ユーザーにとって、敷居の高いメディアであった。その後に現れたSNSのフェイスブックやマイクロブログのツイッターとか Tumblrとなると、コンテンツ作成がグンと簡単になった。短いフォームにメッセージを少し書きこんだり、likeボタンやリツイートボタンを押すだけ で済ませる場合もある。
頻繁にコミュニケーションができるようになった。

さらに最近登場してきたPinterestは、大半がボタンを押すだけでもコンテ ンツが作成できてしまう。敷居の低いメディアと言える。でもコンテンツ作成が手軽になっていっても、口コミ効果は後発サービスほど高まる傾向が見られる。 ソーシャルキュレートに重きを置いたPinterestのようなサービスとして、Snip.itや改版Storifyなども後追いしており、ソーシャルメ ディアの新たな潮流を生み出していきそうだ。

(2012年01月07日)

 

メディア・パブ