メディア・パブ NYタイムズ社デジタル有料購読者数
50万人を突破。デジタル広告は減る。

(2012.07.30)


 

NYT社(The New York Times Company)が2012年第2四半期決算を発表した。同社は昨年からデジタルコンテンツの有料化で勝負に打って出ているのだが、その経過を見てみた。

第2四半期のデジタル有料購読者数は53万2000人となり、50万人を突破した。四半期ベースで見た有料購読者数の推移は次のようになる。

・2011年第2四半期:28万1000人
・2011年第3四半期:32万4000人
・2011年第4四半期:39万人
・2012年第1四半期:47万2000人
・2012年第2四半期:53万2000人

順調に増え続けており、それに合わせて第2四半期の販売(Circulation)売上高は前年同期比で8.3%増と伸びた。だが広告売上高は同6.8% 減と下げ止まらない。プリント(新聞紙)広告売上高が同8.0%減と落ち込むのは仕方がないとしても、上昇が期待されるデジタル広告売上高までが同 4.0%減とマイナス成長になっているのが痛い。デジタル広告には不振のAbout.comの広告売上も含んでいる。ただし旗艦媒体のNYタイムズを中心 とした“News Media Group”だけで見ても、デジタル広告高は1.6%減と萎んでいる。

*NYT社の2012年第2四半期(4-6月期)および2012年上期の売上高:単位:1000ドル

このように、販売売上高が増え広告売上高が減るという流れが続いており、その結果、販売売上高が広告売上高にほぼ並ぶようになってきた。広告売上に大きく 依存していた米国の新聞社にとって、デジタル(オンライン)シフトは大きな出血を伴うことになる。NYT社の場合はその大出血の時期は終わったようだが、 デジタル広告がプラスに転じないと低迷が続くことになりそう。

(2012年07月27日)