メディア・パブフェイスブックが新興国で急成長、
イスラム国家は男性が中心。

(2012.03.14)


 

いまや世界経済は新興国市場の成長に依存せざるをえなくなっている。インターネットも新興国での急拡大が始まっている。

フェイスブックは地球規模のネットサービスの代表例であるが、約8億5000万人の月間アクティブユーザー(MAU)を擁し、世界200カ国以上で利用されている。同社が2月上旬にSECへ提出した上場申請書によると、この1年間でアジアとアフリカ、中東でユーザー数を爆発的に増やし、すでに世界のフェイスブック・ユーザーの過半数を占めている。アジアでは鎖国状態の中国は含まれていないし、ネット先進国の日本や韓国では大きく出遅れているにもかかわらず、州別のシェアではアジアがトップである。新興国でもの凄い勢いで増え続けているのだ。

爆発的に成長する新興国の特徴を探るために、フェイスブックユーザーのデモグラフィック(人口統計的特性)を調べてみた。SocialbakerとZoomSphereから出ているデータ(ソースは同じ)を参考にした。これらのデータは信憑性で気になる点もあるが、大ざっぱなトレンドを把握するために使ってみた。

ここでは、イスラム国と南米国(ラテンアメリカ)に注目してみた。月間アクティブユーザー数の国別ランキングのトップ30に、次のようにイスラム国も南米国もそれぞれ6ヵ国が既に名を連ねていた。

イスラム国:インドネシア、トルコ、マレーシア、エジプト、パキスタン、サウジアラビア
南米国:ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ベネズエラ、チリ、ペルー

予想通りと言うか、イスラム国ではやはり男性ユーザーの割合が圧倒的に高い。一方南米では意外にも、女性が多い。ペルーを除いた全ての国で女性ユーザーの比率が高い。また米国や英国、オーストラリア、カナダで女性比率が高く、日本、韓国、インドで男性比率が高いが、社会的地位と関係しているのかも。

次に年代別の割合を、幾つかの国で示してみた。

各国のリアルの人口構成と似通う傾向を示すが、若い層の割合が高くなるのは当然である。人口構成が典型的なピラミッド型であるイスラム国では、インドネシアやエジプトの例のように、フェイスブックユーザーの8割近くを20代以下の若者で占めている。今後もボリュームゾーンのピラミッド底辺層の若者が新規のフェイスブックユーザーに続々と組み込まれていくはずだから、高い成長率を継続しそう。これからはフェイスブックの世界でもイスラムが大勢力になっていくのだろう。

一方の南米諸国では、人口構成がピラミッド型から釣鐘型に移行していることを反映して、フェイスブックユーザーも20代以下に偏らずに30代や40代の割合が比較的高いのが特徴。このため、成長率は鈍化しそう。

その他では、インドがイスラム国家と同様、超ピラミッド型の人口構成なので、これからもかなりの勢いでユーザー数が増え続けそう。一方、欧米の先進国では米国の例を見ればわかるように、フェイスブックの人口構成がリアルの人口構成に比較的近いのが特徴。つまり中高年層にフェイスブックが浸透している。でも日本は違う。50代以上の人口比率が約45%を超える中高齢層がボリュームゾーンだが、日本のフェイスブックユーザーの50代以上の割合はわずか5.6%である。一方で少子化が進んでいるので、10代、20代ユーザーが爆発的に増えることもなさそう。やはりボリュームゾーンのユーザー層を増やしたいところだが、周りを見てもネット関係やメディア関係のビジネスパーソンは別にして、50代でフェイスブックを日常的に使っている人がまだまだ少ないのでは。