メディア・パブ世界のモバイルインターネット、
助走期から本格離陸期へ。

(2011.12.22)

旬のメディアと言えばモバイルインターネット。スマートフォンやタブレットの新しいモバイルデバイスが出現し、ブームの真っただ中にある。十分に盛り上 がっているモバイルインターネットであるが、世界的にはまだ助走期の段階のようだ。本格的に離陸するのはこれからとのことだ。

これから 数年に渡って確実に飛躍する市場であり、その中でも注目されているのが、いわゆるモバイル・クラウド・コンピューティング分野である。既にコンシューマー 向けや企業向けのクラウド対応モバイルアプリが目立ってきているが、今後爆発的に成長していくという。英Visiongainの調査によると、2016年 のモバイル・クラウド・サービスの売上高が450億ドルに達すると予測している。2011年から2016年まで55.18%もの高いCAGR(年平均成長 率)で伸び続けると見ている。

一つ前の記事で取り上げたOfcom(Office of Communications:英国情報通信庁)のレポート「International Communications Market Report 2011」でも、インターネットメディアの中からモバイルインターネットだけを抜き出して動向をまとめていたので、紹介しておこう。

モバイルインターネット広告費の国別の推移(2006~2010)は次のようになる。まだ広告メディアとしては萌芽期であるものの着実に成長し始めてい る。その中で、3Gで先行した日本のモバイル広告費がずば抜けて高い。グラフの目盛が日本と米国だけは一桁大きい値になっているが、そこでも日本は米国の 2倍以上のモバイル広告費を達成している。日本ではモバイル広告費はインタネット広告費の約15%も占めているが、グローバルではモバイルインターネット 広告が全インタネット広告費に占める割合はまだ2%前後と極めて少ない。世界的にみれば大半の国で、モバイルインターネット市場はまだ小規模なのだ。

 
日本のモバイル広告費が飛び抜けているのは、以下のように3Gケータイで先行していたからだ。

でも、スマートフォンやタブレットの急速な普及とモバイルアプリの拡充により、以下のシスコの予想のように、先進国のモバイルデータ・トラフィックがもの凄い勢いで急増していくのは間違いない。

 
そのためモバイル通信インフラも、より高速の3Gやさらに4G(LTEなど)へと急ピッチで整備が進みつつある。

ともかく、これから個人や企業のコンピューティング環境がクラウド/モバイル化し、大きく様変わりしていくのだろう。まだ助走期の段階なのに、すでにPC によるオンライン利用時間が日米英仏で減る兆候が見られる。スマートフォン利用に侵食されてきているのだろう。

(2011年12月18日)

 

参考
・International Communications Market Report 2011 [PDFHTML](Ofcom)

米ネット広告は完全復活だが成長率は今がピーク、モバイル広告の割合は意外と低い(メディア・パブ)
MOBILE CLOUD COMPUTING INDUSTRY OUTLOOK REPORT: 2011-2016(visiongain)

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