マイナス成長が続く米国雑誌広告
2桁成長の元気な雑誌も。

(2013.07.24)

米国の雑誌広告が減り続けている。米雑誌協会(MPA:The Association of Magazine Media)の発表データによると、今年上半期のコンシューマー雑誌の総広告ページ数は約700万ページで、前年同期比で4.9%減となった。また第2四半期では前年同期比で4.5%減であった。

広告ページ数の成長率(前年同期比)の推移を四半期単位で見ると次のようになる。米国の新聞紙広告ほどひどくはないが、雑誌広告もマイナス成長から抜け出せない。広告状況を主に広告ページ数で比較するのは、客観データが集めやすいこともあるが、雑誌の勢いが広告量の増減で感じとれるからか。分厚い雑誌のほうが読者の受けもよい。

雑誌全体で見れば広告ページ数が減り続けているのだが、雑誌タイトル別にみると2ケタ成長を達成している元気な雑誌も見かける。雑誌は新聞と違って編集企画の自由度が高い。それだけに編集長や編集スタッフの企画力によって雑誌の勢いが短期間によみがえったり、それを反映して広告が増える雑誌が現れても不思議ではない。以下に示すように、ヘルス/ウエルネス分野やフード分野のいくつかの雑誌は,今年上期の広告ページ数が前年同期に比で20%を超える成長率を示していた。

●Health and Wellness
Men’s Fitness (36.1%), Women’s Health (26.9%), Men’s Health (24.8%)

●Food
Eating Well (46.5%), Bon Appetit (25.0%), Food Network Magazine (15.4%) これ以外にも成長雑誌として次の3誌が目についた。 Details (18.9%), Harper’s Bazaar (19.3%), Prevention (14.3%)

この上の3誌と広告売上トップ3誌について、上期(2013年と2012年)の広告売上高と広告ページ数を掲げておく。

参考までに、注目3誌の概要を。 DETAISはCondé Nastが発行する月刊の男性誌。ファッションやライフスタイルの記事が中心でるが、社会問題や政治問題も取り上げる。発行部数は約45万部。雑誌(プリント版)の年間定期購読料は9.99ドル。5ドル追加すると、タブレット版も年間購読できる。

Harper’s BazaarはHearst社が発行する女性ファッション誌(月刊誌)。146年の歴史を誇る老舗雑誌である。世界26カ国で発行している。日本語版は休刊したが、ハースト婦人画報社から2013年9月にも復活創刊される予定。発行部数は約1年前で73万部くらい。米国での年間定期購読料は10ドルで、3年間契約となると20ドルで済む。

Preventionは、Rodale社が発行するヘルス/ウエルネス誌。カバー分野はHealth、Weight Loss、Fitness、Sex、Mind-Body、Food、Beautyなど。Rodale社は、広告ページ数が前年同期比で25%前後も増えたWomen’s HealthとMen’s Healthも発行している。

トップ3誌の広告ページ数は頭打ち傾向にある。それでもPeopleは広告売上高で数%の伸びを示しており、年間で10億ドル、つまり1000億円も稼いでいる。

(2013年07月18日)

参考
・Magazine Media Brands See Advertising, Readership Growth During the First Half of 2013(MPA)
・Ad Pages Fall 4.9 Percent in the First Half(Folio)

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