メディア・パブ PC時代に続いてモバイル時代でも、
グーグルが広告事業で独走めざす

(2013.02.28)


 

Googleは経営面から見ればオンライン広告事業者と見なせるが、パソコン時代に続いてモバイル時代においてもネット広告事業で独走する勢いである。 Marin Software社のレポート「MOBILE SEARCH ADVERTISING AROUND THE GLOBE」より、Googleのモバイル検索広告の現況を追ってみた。

まず、CowenがまとめたGoogleのモバイル売上高の推移(昨年以降は予測)である。大半は検索広告売上となる。2016年には200億ドルほどに達すると見られている。


(ソース:Marin Software)

Googleの売上のほとんどはこれまで、パソコンの検索広告売上に依存してきた。パソコンユーザーからのクリック数が売上に反映していた。だが最近では、スマートフォンやタブレットが急激に普及するに伴い、検索広告のクリック数もモバイルユーザーからが増えてきた。

アメリカ市場において、Googleの検索広告クリック数のデバイス別シェアで、モバイルユーザーからのクリック数の割合が目立って増え始めた。 Google検索広告の全クリック数のうち、モバイル端末ユーザーからのシェアは2012年1月の14.2%から12月の23.4%へと急拡大したのだ。


(ソース:Marin Software)

モバイル広告の課題は、パソコン広告に比べ収益性が低いことである。だが検索広告の平均クリックスルー率 (CTR) をデバイス別(パソコン、スマートフォン、タブレット)で見ると、スマートフォンが4.72%、タブレットが3.12%と、パソコンを上回った。でも、ク リック単価はスマートフォンが0.48ドル、タブレットが0.62ドルで、パソコンの0.75ドルに比べまだ低い。それでも2012年において、クリック 単価の上昇率が、スマートフォンが13%、タブレットが25%と、パソコンの9%より高い。今年中にも、タブレットのクリック単価がパソコンを追い抜くか もしれない。


(ソース:Marin Software)

アンドロイド搭載モバイルが出荷台数シェアでiOS搭載を大きく引き離している。それでもモバイルアプリの売り上げではiOS搭載モバイルがまだリードし ていたが、Googleのモバイル検索広告に代表される広告市場ではアンドロイド搭載モバイルが優位に立っている。モバイル時代への進展が軌道に乗り始め ていると市場がとらえたためか、Google株は先週初めて800ドルを突破し、最高値を更新した。

(2013年02月24日)

参考
・Australia leads the way in tablet and smartphone ad share(Econsultancy)
・MOBILE SEARCH ADVERTISING AROUND THE GLOBE(Marin Software)
・Google’s Mobile Success Is Key Factor In Stock’s 30% One-Year Gain(Forves)
・Google Buying Channel Intelligence to Help Boost Online Sales(eWeek)

関連記事
•アンドロイド端末が急増しても、年末のオンラインショッピングではiOS端末からが圧倒 [2012-11-27]
•主戦場になるモバイル市場、Pandora、Twitter、Yelp、ESPNなどが先行 [2012-12-01]
•検索連動などのPPC広告に危機説が浮上 [2007-10-17]
•米インターネット広告が再び上昇気流に [2012-04-19]
•米ネット広告は完全復活だが成長率は今がピーク、モバイル広告の割合は意外と低い [2011-06-10]
•Wintel時代が終焉へ、モバイル時代へのシフトが加速化 [2012-12-07]
•アンドロイド搭載スマートフォンメーカー、グーグル保有特許を武器にアップルに再反撃を [2011-09-08]
•ネット広告が再び上昇気流に、ただしCPM広告の売上シェアは下降の一途 [2010-10-13]
•モバイルアプリが伝統ニュースメディアを活性化させるのか [2012-10-17]
•米ネット広告の上期売上が100億ドル,その4割をGoogleが占める? [2007-10-06]

メディア・パブ