メディア・パブ NYタイムズ社、
広告依存から販売依存へ

(2012.10.31)


 

NYT社(The New York Times Company)の業績が今一つ冴えない。2012年第3四半期決算によると、前年同期に比べ総売上高が増えなかったため、営業利益が60%も減った。 NYタイムズのデジタルコンテンツの有料化が功を奏して販売売上高(circulation revenues)を7.4%も増やしたのに、広告売上高を8.9%も大きく減らしたため、減収減益となってしまった。

*NYT社の2012年第3四半期決算:単位:1000ドル


米国の新聞社の特徴は、広告売上高に大きく依存していることであった。だが、新聞紙広告(プリント広告)売上高は長期低落が続き、今期も同10.9%減と 下げ止まらない。期待のデジタル広告売上高も同2.2%減とマイナス成長に陥っている。新しい牽引役になるはずのデジタル広告までが足を引っ張っているの だ。

一方で明るい動きとしては、有料のデジタル購読者数が順調に増え続けていることがある。四半期ベースで見た有料購読者数の推移は次のように増え続けている。

・2011年第2四半期:28万1000人
・2011年第3四半期:32万4000人
・2011年第4四半期:39万人
・2012年第1四半期:47万2000人
・2012年第2四半期:53万2000人
・2012年第3四半期:59万2000人
   =56万6000人( NYTimes.com + IHT)+2万6000人
(Boston Globe)

この結果として販売売上高は順調に伸び、今では販売売上が広告売上を上回るようになった。NYT社では完全に広告依存から販売依存へと切り替わったようだ。

でも販売売上高に頼るようになったといっても、広告が底なしのように減り続けていると、なかなか浮上できない。グループ別の売上は次のようになる。NYタ イムズを中心とした“News York Times Media Group”でも、広告売上は9.7%も減らしている。

*NYT社の2012年第3四半期の売上高:単位:1000ドル

(2012年10月26日)

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