メディア・パブ 通信分野の先行国だった日本、
サービス分野では欧米先進国後追い

(2012.12.18)


 

高速ケータイとブロードバンドの通信分野では、日本は韓国と共に世界のトップランナーであった。今でも日本はトップグループで突っ走しているはずだが……。スマートフォンは売れまくっているし、オンランショッピングは爆発的に伸びているし、ニコニコ動画などのオンラインTVも盛り上がっている。

ガラパゴス島に安住し、国内市場が成長しておれば、激しく変化している海外に目を向けなくても済むのかもしれない。でも、昨日Ofcom(Office of Communications:英国情報通信庁)が発行した“International Communications Market Report 2012”を 見ていると、モバイルインターネット化とブロードバンド化で激変する情報通信サービス関連分野で、欧米先進国の多くが日本よりも先行するようになっている。日本は人口が多いため、市場規模はまだ大きいが。でも少し前まで、ケータイ(3G)とブロードバンド後進国と見下していた欧米の主要国が、インフラ分 野は別にしてサービス分野では主導権を握ってしまっていることを示している。

Ofcomが毎年年末に出すレポートでは、2012年版も 世界のメディアやテレコムの動向や現況が、数多くのグラフを駆使して紹介されていた。主に欧米先進国を調査対象にしているが、一部に日本や中国の市場デー タも提供されているので、日本と欧米主要国とを比較できるので有難い。339ページの長大レポートだが無料で入手できる。(英国の資料なので、通貨はすべ てポンド。最近の円安で、現在の為替レートは1ポンド=約135円)。

まず最初は、主要8ヵ国(英、仏、独、伊、米、日、スペイン、 豪)における、デバイスの保有率とブロードバンドサービスの利用率である。調査対象国の回答者(各国約1000人)のうち、何%の回答者が該当デバイスを 保有し、該当サービスを利用しているかを示している。フィーチャーフォンのケータイ電話機の保有率では日本がトップであるが、スマートフォンでは最下位となっていた(日本ではフィーチャーフォンで、スマートフォン的なサービスを享受できたことも要因であるが)。デジタルラジオも、生活環境の違いもあって日本は最下位であった。またデマンドTVやスマートTVなどのサービスの使用率でも最も低い。


(ソース:Ofcom)

次は、B2Cのコンシューマー向けオンラインショッピングの1人当たりの消費額の比較であるが、日本は英国や米国、オーストラリアに比べ低い。このことは、日本市場がもっと加速化できることを示唆している。


(ソース:Ofcom)

最後に取り上げたグラフは、現在日常的に利用している通信サービスやメディアについての調査結果である。ラジオの利用率が低いのは仕方がないが、急成長 真っ只のスマートフォンの利用率がまだ低いのは、調査時期のせいかもしれない。でも欧米もサービスの多様化に向けて急成長時期にあり、日本はすぐに追いつくのは大変そう。


(ソース:Ofcom)

(2012年12月14日)

参考
・International Communications Market Report 2012(Ofcom)
・A summary of Ofcom International report comparing consumer use of the Internet in 17 countries(SmartInsight)

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