もし就活学生がマーケティングを勉強したら 57定性調査における
差別化戦略を考えよう。

(2013.07.15)

調査には定量調査と定性調査があるといいました。就活においても定量調査の部分は同じ環境で実施されたものであればそれを基に順位付けをし、足切りをすることが可能です。皆さんがこれまで経験した筆記試験による入学試験と同じです。しかし、新卒採用の場合はその後何十年もその会社で働いてもらう人材を選別する訳ですから、たまたま試験のヤマが当たったような人を採用する訳にはいきません。定量調査は客観的でわかりやすいけれども一発勝負の場合運のよかった人、悪かった人を選別できません。そもそも仕事に必要な素質や能力は定量調査にはなじまない部分が多いので、定性調査であるエントリーシートや面接、あるいはグループディスカッション等を組み入れるのです。

樹: ということは定量調査の後に定性調査をやるってこと?

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マーケティング・リサーチの場合は比較的サンプル数が少なく、安価に実施可能な定性調査を先に実施してある程度仮説を固めた上で多くのサンプルを対象にした定量調査を行なうケースが多いのですが、新卒採用にあたっては逆のケースがほとんどです。それは面接のような定性調査には手間暇がかかるので応募者全員を対象に実施するとエントリーの多い企業は莫大な労力とコストがかかるからです。

環: ということはあまり人の集まらない企業だといきなり面接もありってこと?

そうです。定性調査のステージに進んだということはそれだけ内定が近づいたということですから喜ぶべきことなのですが、買い手市場の昨今ではそこからのステップがまた長いのも事実です。定性調査は数字ではなく言葉で表現される調査だといいました。では誰が評価するのでしょうか。それは神様でも、占い師でも、カウンセリングの専門家でもありません。その企業の社員です。その企業に長く在籍して、その企業風土やビジネスを十分理解した人が、この学生がウチの会社でやっていけるかどうかを判断するのです。

そのために皆さんは何を心掛けたらよいのでしょうか。それはその企業のことをいかによく知っているかということです。そしてその中で仕事をする具体的なイメージを描けている学生が光り輝いて映るのです。自分のことをよく調べていて、自分に合わせようと努力している様がうかがえる人に対して悪印象を持つ人はいないでしょう?


採用担当の翁:ムム……、この子は光り輝いておる……。
イラスト / たかはし たまき