もし就活学生がマーケティングを勉強したら 56 マーケティング・リサーチ、
就活学生を評価する調査手法は?

(2013.07.08)

企業は新商品や新サービスを市場に導入する際には様々な調査を実施します。これをマーケティング・リサーチといいます。これは市場導入の失敗リスクを少しでも軽減するために行なうもので、大企業ほどこれにお金をかけることになります。消費者を対象にした調査もあれば、消費者に届く前の流通業者に対する調査や消費者が実際に購入する際に意見を聞いたり、影響を受けたりするような人たちを対象とする調査もあります。例えばどのような人たちでしょうか?

樹: その製品やサービスに詳しい専門家、研究者、ジャーナリスト?

環: カリスマ何とかとかいう人がいいんじゃないの? それに読モ(読者モデル)?

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最近はインターネットで情報発信が誰でも簡単にできるようになったのでそれだけ耳を傾けるべき対象も広がってきています。

マーケティング・リサーチは大きく定量調査と定性調査に分けられます。定量調査は数字で表現される調査で、平均値のような様々な統計値をとることが可能になります。当然その中で順位づけなども機械的に行なうことが可能になります。

それに対して定性調査は数字ではなく言葉で表現される調査です。数字を扱うのに比べて複雑で面倒なので対象者数、サンプル数も定量調査に比べて限定されたものとなります。世論調査のように、Aが○%、Bが□%で、AはBより△ポイント高い(低い)というように表現できるのが定量調査、インタビュアーの質問によって相手の心、考え、意向を把握しようとするのが定性調査です。調査対象者(これをサンプルといいます)が同じであれば定量調査では同じ結果になりますが、定性調査では同じサンプルでもインタビュアーや分析者の主観に影響を受けるので異なった結果になることもあります。

環: 内閣支持率も新聞によって結構違ったりするわ。
樹: それって誤差?

新聞社は統計的な信頼性を担保するために偏りが生じないようにサンプルを選ぶような仕組みで調査を行なっているのですが(これをランダムサンプリングといいます)その新聞の論調と異なった考え方の人は回答を拒否するケースが多くなるので同じサンプルとはいえなくなってきます。

これを就活にあてはめると、筆記試験の点数、TOEICの点数などは定量調査なので順位づけが可能です。大学も入学試験の難易度が予備校の偏差値などである程度分かっていますからその意味では順位づけが可能です。一方、エントリーシートや面接は定性調査といえます。


定量調査は数字で表現されます。
環: ちょっとのぞかないでよ~!
イラスト / たかはし たまき