もし就活学生がマーケティングを勉強したら62M&Aって
何のためにやるのでしょうか?

(2013.08.19)

たとえあなたが理工学部でも、文学部でも、M&Aという言葉を聞いたことがないという人はいないでしょう。M&AはMergers & Acquisitionsの略で、企業の合併や買収という意味です。欧米に比べると日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、国内外で年々件数は増加しており、その規模も増加傾向にあります。

ではなぜ企業はM&Aをするのでしょうか。新聞記事などで話題になる時には「国内外での競争力強化のために」などとポジティブな前置きをされることが多いようですが、中小企業の創業経営者が後継者難(親族にも社員にも適任者がいない)に直面し、事業の継続、現状の雇用を維持するための最後の選択肢としてM&Aを決断する「破たん企業再生のため」というのも最近は多いそうです。

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また最近は国境を超えたM&Aが増えているのも事実です。皆さんのお父さん、お母さんの中にも勤務する会社がある日突然外国企業に買収され、別に海外事業に関わっている訳ではないのに、外国人が上司になり、慌てて外国語を勉強するようになった、という方もいらっしゃるかもしれません。

企業はまさに「競争力強化のために」日々企業活動を継続しているともいえます。自らが成長していけば合併・買収という選択肢に頼らなくても済む訳ですが、ライバルとの競争が厳しく、自らの成長を待っていては競争に負けて市場から退場しなければならない、つまり倒産するということもありえる昨今です。M&Aは企業が成長するまでの時間を節約する手法として注目されるようになっているのです。M&Aはデジタル化、グローバル化が進み、企業経営にますますスピードが求められるようになればなるほど日常的に行なわれるようになるのです。

企業経営に求められるスピード感、これが就活で皆さんが直面する学生時代とは異なるスピード感です。学生、つまり顧客から授業料を頂いて一定の基準で単位や学位を与える大学と自らの生き残りをかけた戦力増強のために行なう採用との違いです。


M&Aで企業は時間を買うのです。

イラスト / たかはし たまき