もし就活学生がマーケティングを勉強したら75プロダクト・ライフ・サイクル曲線を変形させるには?

(2013.11.18)

このプロダクト・ライフ・サイクル曲線、いわれてみると確かにS字型曲線を描くことがもっとものように聞こえるのですが、実際に描かれる曲線の形は製品によって様々です。ファッション品のように非常に流行性の高い製品については短期間で「成長期」が過ぎ去り、あっという間に「成熟期」に到達、「衰退期」はほとんどなく消滅(生産打ち切り)してしまうものも珍しくありません。

また需要が非常に脆弱で「市場開発期」が長期化し、その後も「成長期」と呼べる段階を経ずに「成熟期」に突入してしまう製品もあります。

環: そんな製品、早く見切っちゃった方がいいんじゃないの?

それでも強力なライバル製品が現れず、高い利益率を享受できる状態が続くのであれば、売上量(額)は多くても利益率の低い製品よりよっぽど企業にとって大事な製品ということになります。しかし難しいのはある時点でのポジションがその製品にとってプロダクト・ライフ・サイクルのどの時期にあたるのかはその製品の寿命が終わってからでしか判定できないということです。

樹: それってどういうこと?

***

一般的なプロダクト・ライフ・サイクル曲線といわれるS字型曲線も実際には虫眼鏡で拡大してみるとその中には不規則な凹凸がたくさんあって「ここからここまでが○○期です」といった明解な指針を予め作ることが出来ないということです。

樹: それって非科学的じゃないの?

確かにマーケティングがアート(職人芸)といわれるのはそういった点にも理由があります。しかし企業は成長を続けていくために「成熟期」や「衰退期」に入ったように見える製品について様々な延命策を講じることになります。そして場合によっては生産打ち切り、撤退の決断も必要になってくるのです。

その際、その企業に長くいる社員ではそういった施策を考案し推進していくのはなかなか難しい場合があります。現行製品への思い入れや愛着が強すぎて思い切った手が打てないのです。また「この事業は今の社長が手掛けたものだからやめる訳にはいかない」などといった面子を気にした判断も日本企業によく見られる傾向です。

そこで新卒採用や中途採用で定期的に外部の血を入れる必要があるのであり、まさに企業が皆さんに期待する点はそこなのです。


プロダクト・ライフ・サイクル曲線を上昇させるのは皆さんです。
イラスト / たかはし たまき