片岡英彦のNGOな人々 (Non-Gaman Optimists)「ミスキャン」が考える日本の未来
「評価」と「友人」と「将来」と

(2012.05.11)
Sweet Smile の面々と。左から08'準ミス横浜市立大学西川礼華さん(代表)、11'ミス東洋大学の相澤遥佳さん、11'ミス明治学院大学の深海茉莉さん。

「NGOな人々」”Non-GAMAN-Optimist”とは「ガマン」していられず、チャレンジをし続け、決して諦めない 「楽観人」。NGOな人々へのインタビュー第17回は、ミスキャンパスであるということを活かして、自分たちを取り巻く世の中社会の問題を見つめ直す機会をつくり、たくさんの笑顔が生まれる“きっかけ”をつくりたいと、社会貢献の輪を広げる活動を行なっている、Sweet Smileから、08’準ミス横浜市立大学の西川礼華さん、11’ミス東洋大学の相澤遥佳さん、11’ミス明治学院大学の深海茉莉さんの3人をお招きしました。「ミスキャンパスpresents 世界を変える仕事44」を発売中。

西川礼華さん
photo/井澤一憲

■西川礼華プロフィール

(にしかわ・あやか)1989年3月24日生まれ、神奈川県出身。横浜市立大学医学部在学中。趣味は散歩、映画鑑賞、歌。興味のある社会貢献の分野は医療、国際協力 (乳がん・子宮頸がんといった女性特有の病気、たばこ、生活習慣病、AIDS等々…)。 将来の夢は社会を明るく健やかにする!将来医師になる前に、学生のうちから社会の抱える多くの問題を知っておこうと活動に参加。現在、同団体の二代目の代表。

相澤遥佳さん
photo/井澤一憲

■相澤遥佳プロフィール

(あいざわ・はるか)1991年4月25日東京都出身。東洋大学経済学部在学中。勉強している分野はソーシャルキャピタル。趣味はDVD•アニメ鑑賞、Cafe巡り。興味のある社会貢献の分野は女性問題、「食」、環境。活動のきっかけは中学生のころの地域のボランティアをきっかけに、高校で世界の抱える問題を知り、自分の思いを形にしたいと強い思いを持ったから。将来の夢:価値のある自立した女性になること。

深海茉莉さん
photo/井澤一憲

■深海茉莉プロフィール

(ふかみ・まり)1991年4月15日、東京都出身。明治学院大学文学部英文学科。趣味はダーツ、農作、買い物。特技はバドミントン。友達と会う、家でのんびりして休日を過ごす。尊敬する人は両親。好きな言葉は”keep moving forward” 好きな男性のタイプは家族を大事にする人。将来の夢は子供と関われるお仕事に就くこと。座右の銘、笑う門には福来る。

「社会貢献」をする理由

片岡:せっかく「ミスキャンパス」に選ばれたのだから、芸能活動とかもっと派手なことをするならわかるけど、何で社会貢献活動をするの?

西川:私は今、大学6年生(医学部)で、4年生の時は普通に家庭教師や塾講師、飲食店とかでバイトをしました。お金の為というより、自分の社会経験の為でした。4年間ぐらいやってそこで色々と学ばせてもらい、今こういう活動に段々シフトして来ているという感じです。元々そんなにお金を稼ごうという意識が無かったっていうのがありますね。

相澤:私は親に学費は出してもらっていますが、自分の生活費は自分でやっているので、今でもアルバイトもしています。人と出会うのが好きで、この活動以外にも色々な活動をしています。他の学生団体とかにも入っています。こういう社会貢献活動をしていて、お金にはならないですけれど色んな経験をさせてもらっています。

深海:私も他にバイトもしていて、それは生活費やお小遣いの為ではありますが、私は多分お金があればあるだけ使っちゃうから(笑)。この団体に入らないで学校とバイトだけだと、アルバイトでたくさん稼いだ分全部使ってしまうと思い、違う事をやりたいなと思ったので、お話を頂いた時にせっかくなので「じゃあ、やらせてください」と言って参加しました。

片岡:ミスキャンパスじゃなくてもこういう社会貢献活動をしましたか?

西川:私は元々社会貢献というものに興味がありました。例えば中学・高校の時に学校の行事として社会奉仕活動とかをやった事があって、楽しいし、すごくいい経験を私自身はさせてもらえたな、という思いがあったので、ミスキャンパスとかいうのが無くても何かしら、そういう団体に出入りをしていたと思います。

相澤:私もこういう活動を多分していたと思います。私はTABLE FOR TWOという、大学の学食などで対象食品を購入すると、1食につき20円の寄開発途上国の子どもの学校給食になるという活動を運営する団体にも入っています。中学や高校の時もボランティア活動をしていたので、社献活動という意識はあまり自分の中に無くて、自分が楽しいからやっているという感じです。

深海:私は自分がミスキャンだからという、正直そういう部分もありますね。ただ、ずっと興味はありました。でも中学•高校の時って他にも沢山楽しいことがあるし、そっちの方に重点を置いていたけど、大学に入って、ミスコンに出る時にキッカケがあって、人の目に付く所に立って、みんなにスゴイって言われ、だけど私は何もしてないなって思った時に、本当に「えらいね」って言われる事がしたくて入りました。だからミスキャンになったのがすごい大きなキッカケです。

TFT(TABLE FOR TWO)お弁当発表にて。
「ミスキャン」で得をすること

片岡:「ミスキャン」という肩書って、社会貢献の手段として便利ですか?

西川:便利だと思います。例えば同じような学生が活動するよりも、「ミスキャンパスが来るよ」っていうだけで、メディアで取り上げられ、コラボレーションした相手にとってもメリットがありますし、色々な方や団体からお話を頂くキッカケにもなります。

相澤:私もあると思います。私はむしろ、そのためにミスキャンになりました。色々と活動して行く中で、自分が伝えたいと思ったものを伝えるためにはどうしたらいいのだろうって考えた時に、自分が有名になるのが一番早いと思ったからです。

片岡:深海さんは、もともと人前に出る事があまり好きじゃなかったそうですが、ミスキャンになったっていうのは、そういう何かをしたかったから?

深海:私は何かがしたいっていうよりも、ちょうど付き合っていた人にフラれてしまって、彼の目に留まりたくってミスコンに出たので(笑)。

片岡:「惜しい人をフッてしまったと」って相手に思われたいみたいな!?

深海:みんなにそれを言われるんですけれど、そうではなくて(笑)大きい立て看板が学校に出るから、そこに私の写真が出たら彼も絶対に見ると思って(笑)もちろん、それとは全然関係なく、こうやって西川さんや相澤さんとお会い出来て良かったので、ミスキャンパスって色々な意味で「ツール」としていいと思います。

結成のいきさつ。

片岡:西川さんは代表としては二代目ですよね?社会貢献をしたいと思うミスキャンの人がいるっていうのは想像付くし、その人の周りにいる普通の友人たちが協力するのも分かるけれども、どうしてミスキャン同士が一緒に活動しようってことに?

西川:初代の代表の山崎ひなこさんが、元々そういった社会貢献やボランティアをしたい、その為にミスキャンパスという知名度を活かしたいと思って立ち上げた団体で、彼女が積極的に同じようなミスキャンパスに声をかけて、彼女と仲が良かった他大学のミスキャンパスたちが「じゃあ、一緒にやろう!」って。

片岡:横の繋がりがあったんですね。

西川:ミスキャンパスになると、テレビや雑誌でその年のミスキャンパスの特集とかあり、そこで出会ってネットワークが出来て、声を掛け合ったのが初期のメンバーです。そういう活動を雑誌とかで掲載されるのをみて、同じミスキャンパスが憧れを抱いて後に入って来たという感じで、私たち以降のメンバーが新たに加わりました。

片岡:活動方針とか意見が違ったりしません?みんなそれなりに「一国一城の主」で、それぞれの大学のブランドを背負っているじゃないですか。みんなで一緒に活動するとなると、争いごととかは?

相澤:私は、ミスキャンパスにならせてもらったけれど「大学の代表」っていう意識が全く無くて(笑)それにSweet Smileに入っているミスの方って、みんな「私が前に出たいから」とかいうのはないですし、結構色んなお仕事というか依頼が来るんですけれど、自分に興味があればそのお仕事をやらせて頂くし、あまり興味がないなというものには出ないので。

深海:私はまだ入ったばっかりで、ボランティアっていうもの自体あんまりお2人に比べたら経験が浅いので、語弊があるといけないけれど、やりたい事だけやればいいよ、って言ってくれるので(笑)

西川:私たちの団体は、まずスタンスとして、学業とか就活とかがまず優先ですね。芸能事務所ではないので、それぞれ個々のやりたい事は絶対にしてもらいたくって。それとは別に、もしSweet Smileに依頼が来た話とか、あるいは私たちが企画したイベントに関して興味があれば一緒にやりましょうというスタンスです。

周囲からは「注目」の的に!?

片岡:この活動もやって、アルバイトもやって、学業もあって、みなさん忙しい中で、周りのいわゆるこういう活動をしてない友達とかと話が合わなくなったりしませんか?

相澤:私、あんまり大学には友達いないんです(笑)一年生の時にサークルに入ってみたいなと思って挑戦してみたけれど、やっぱりなんか違うんですよね(笑)だから、そういう活動が忙しいとかでなく、用事があったら「すみません、行けないんです」って感じで、予定が空いていて自分がやりたい事なら、「行かせていただきます」って感じですね。

深海:私は中学から明治学院で、中・高・大と友達はずっといるので、大学は楽しいし、バイトも皆さんいい人で楽しいけれど、中・高っていっぱい遊んで来たし、大学で勉強も忙しくなるという所にこういう話が来たので、今、別に他に遊ぶ気持ちもないです。周りの友達もこういう活動していることに対し、「ああそうなの、どうなの?」みたいな、むしろ話に食い付いてきてくれる感じです。あんまり友人との「ズレ」は感じないですね。

片岡:「スゲー!」とか言われません?メディアに出たり、しかもボランティア活動として大きく取り上げられたりして。普通の学生ってそんなにメディアに出たりしないから。

深海:スゴイって言われても、「別に私スゴクないよ」って。ただチョット容姿が良かったり。(笑)すごく根源的な話なんですけれど、生まれた時から私はこのままで、別に私は何もしてないし、ってみんなに言っています。メディアに出ること自体はみんなもう、私が別にスゴイことではないと思っていて、そのことをみんな理解してくれているので、褒められたり、チヤホヤされたりする事はないです。

片岡:周囲の「評価」とか「評判」って気にしますか?

西川:やっぱり気にします。特に将来、医師になるっていう意味では。例えば患者さんが自分の主治医をネットで検索した時に、こういう社会貢献活動をしていて、「エっ?!私の病気をちゃんと診てくれているの?」という事を思われる方もいると思うんです。そういう意味での「評判」ってものすごく気になるんです。ボランティア活動とかこういう活動は、人によっては誤解を受けたり、不快に思われたりする方もいらっしゃると思います。でも、そうした中でもまだ理解してもらえる余地はあるのかなと思います。その代わり人一倍すごい努力はしています。勉強も絶対手を抜かない。人並みの努力ではダメで、私はあなたよりも努力をしているからこういう活動もできる、というのを敢えて見せながら努力しています。

相澤:評価とか周りの目とはすごく気にするけれど、私の周りの人は何も言ってこないです。私からもあまりそういう事を話さないので、評価とか、そういう面ではあまり気にした事がないです。

片岡:例えばこの今、みなさんがやっている社会貢献活動の事を話す友人と、全く違う事を話す友人と、友人の中でも何パターンかの付き合い方を分けています?

相澤:はい。全然違います。

片岡:そうか違うんだ。やっぱりそこは違うソーシャルグラフなんだ。

深海:私は、以前、「評価」を気にする時期もあったけれど、今は全然です。服で言ったら、人によく見える服を着るか、自分が好きな服を着るかっていう形の話ですよね。私は最初、人からよく見える服を着ていたけど、やっぱり自分が着たい古着を着ようと思って今こういう感じで、気にはならない…言われても、「あ、そう」という感じです。

片岡:僕が最初に深海さんと写真撮影した時に、ちょっと「意地悪」に “山ガール”って呼ばれない?って聞いたでしょ?でも、あれは、「着たい服を着てるなあ」って思ったから。実際に「自分の好きな服」を着ていますよね。「周囲からこう見られたい」じゃなくて。

深海:最近は、自分が着たくない服も着ないといけない、フォーマルな格好が必要な時もあるから、まあ時と場合によって…。

「お金」「評判」どっちを得たいのか??

片岡:お金持ちになるのと有名になるのとどっちが大事ですか?

深海:その2択なんですか?ならば有名になりたいですね。

片岡:人生はお金じゃない、と。

深海:はい。

相澤:私はお金持ちになりたいんですよ。将来。

片岡:それは何で?

相澤:自分の欲しい物を、値段を気にせずに買いたい、っていうのがあって。

片岡:一番買いたいものって何ですか?

相澤:買いたいものは分からないけれど、ニューヨークの五番街で紙袋を一杯持って…っていうのが(笑)。

片岡:それは本当の「お金持ち」ではなく、ただの「贅沢」のような気が僕には思えるけど(笑)。けっこうバブリーだね。

相澤:夢なんです。自分で稼いだお金の方がいいですけど(笑)。

片岡:「ミスキャン」でもなく「社会貢献」もしない「普通の学生」をどう思いますか?「キレイ」でもなく「社会貢献」もしないで、「親のお金」で学校に通って、「のんびりしている人」たちのこと。

西川:そういう人が大多数ですよね?そういう人が普通だと思うし、むしろ社会貢献を学生の内からやっていて、「楽しいよ」とか言っている学生の方がどちらかというとレアですよね。だからそういう人が悪いとか、例えばボランティアしているからエライとかそういう事は絶対ないと思うし、その人それぞれのペースがあるから、それはそれで、全然、いい事だと思います。

相澤:多分その人たちがそれで満足していて楽しいから、それをやってるわけじゃないですか。私はそれが楽しいと思わないから他のことをやってるだけなので、その人たちが楽しいんだから全然いいと思います。

深海:悪くも良くも、私は人のことをどうこう言うのはイヤなので、その人がいいならそれでいいと思うけど、ただ最近、 “類は友を呼ぶ”という言葉をすごく感じることが多くて、友達でそういう子も居るけど考えてみたらあまり連絡を取らなかったり、喋っても一言二言の挨拶程度だったり、関係自体をそんなに築いてないから…

片岡:つまんないの?

深海:実際にそうなのでしょうね、多分。

ミスキャンパスの将来感は?

片岡:将来結婚するとしたらどういう男性がいいですか?

西川:私が例えばお医者さんをやるとか、こういう事がやりたい、っていう意志がきちんとあるタイプなので、それを話した時に、そういうのを初めから受け入れる事が出来ない人と、聞いて考えたけど受け入れる事が出来ないって人が居ると思うんです。全部受け入れてくれとは言わないけど、少なくとも聞いてくれる人がいいなと思っていて。そういう意味ではちゃんと向き合ってくれる人がいいです。

相澤:やっぱり尊敬できる人がいいですし、何か自分で行動できる人がいいので。

片岡:じゃあ、大多数のヤツはダメ。

相澤:(チャラオってことですよね?)そうですね。ちょっと尊敬出来ないかな(笑)。

片岡:深海さんは、やっぱり“類は友を呼ぶ”でアクティブな人がいい?

深海:いや、話を聞いてくれる人がいいですね。

片岡:話を聞くだけなら楽だと思うけどなあ、聞かない人が周りに多いってこと?

深海:話を聞くって難しいみたいだよね?

相澤:「あ、そう」で終わっちゃう人が多い。

片岡:「返し」がないんだ。

西川:私たちのやっている事って理解されない部分もけっこうあって、関心を持ってくれない人が結構多数派です。「ああ、そうなんだ」「すごいね」みたいな、そういう「バリア」を張られる(笑)。それがあるかないかっていうことです。

片岡:卒業したら何がしたいですか?お医者さんになってその後普通のお医者さんじゃやっぱりイヤですか?

西川:まず医師として勉強もきちんとするし、現場もちゃんとみて患者さんと向き合って。医師としてここからはまず一人前になる、という事にきちんと専念しようと思っています。“医師”という事に誇りというか尊厳を持って、それである程度頑張って行きたいと思っていて、こういった社会貢献活動というのは例えば本当に休日とかを使ってやるとか、自分が結婚して子供を産んで暫く仕事から離れなきゃいけない事があったりしたら、そういう時にまたちょっと今まで興味を持っていた団体さんと出入りするとか、するとしてもその頃はもうある程度歳もとっているので、今のミスキャンパスという看板ではなくて一女性として一大人としての関わり方になるのかなと思っています。

片岡:相澤さんは?まだ何年か残っているけれど、卒業後はどういう仕事を?

相澤:バリバリ働きたくキャリア志向です。新しいモノとか作ったり、企画とか考えたりするのも好きなので将来はそういう事をやって最終的に、食べるのが大好きだから、食に関わって行けるような仕事に就きたいなとは思いますね。

片岡:深海さんは?

深海:私はまだノープランですけど…農家に嫁ぎたくて(笑)。

片岡:また、何で農家なの?

深海:私の両親が農業を始め、全くの無農薬というか手入れしない本当に野放しの、雨と太陽だけで作物を育てるみたいな事をしていて…。大学一年生の夏にワーキングホリデーでりんご農園に行った時に、企業で働いてそのお金で生活するよりも、自分の手で育て、それを収入にして生活をする方がいいと思って。ただ、私が今から土地を耕して農業を始めるのは難しいなと思って、縁があれば、そういう男性に嫁いで…って(笑)。

片岡:面白いね。漁業じゃダメ?牡蠣の養殖とか。そういうのは違うの?

深海:海沿いの男の人ってすごい勢いがイイじゃないですか?それが私はダメで(笑)。

日本の未来を変えていく!?

片岡:最後の質問です。これからの日本はどうなっていくと思いますか?

西川:今回の震災って本当に大きな出来事だなって思っています。この震災をきっかけに、例えば私たち学生の世代っていうのは社会とかコミュニティーとかについてかなり考えるキッカケを得る機会がありました。多分、他の世代よりも、この震災に関連してボランティアをやった学生とかって多いと思います。そういう経験を通じて、「僕たちが、私たちがこの日本を背負って行くぞ」という「気合い」を持った人たちが結構多いんじゃないかなって、ちょっと期待をしています。こういった私たちがこれからどんどん大人になっていって、社会を担う年代になった時には、責任感とか使命感とかそういうのが強い人たちの背負って行く日本になるんじゃないかなと思っています。

…なので例えば格差是正とかいうことが謳われていてアメリカの様に極端に貧困と上下層が分かれるのではないかと言われて、確かに日本もそうなるかもしれない。だけど、それではいけない、もっと日本全体を良くしなきゃいけないっていうのを真剣に考えられる人たちが多い世代が、きっとこれからを担うと信じています。これからの日本というのは色々暗いニュースもあるかもしれませんが、私は絶対に明るくなっていくと信じています。

相澤:「今の制度のままじゃ、日本は5年、10年後に終わる。日本として国は残るけど、今の社会制度とかはほぼ無くなる」という話を、ニュースなどでよく聞きます。普通に考えれば、このままじゃ終わるな、って私も思います。例えば私たちの年代って年金がマイナス200円で最初から貰えない…それっておかしいし。じゃあ、何で払わなきゃいけないんだろうって思っている人が増えると思います。そんな制度は絶対におかしいし。でも、今は世界のGDP は3位で、この小っちゃい日本でよく3位だなって、逆に最近は思うんです。「日本は終わる」と言われているけれど、今の人たちとか制度が変わっていくのであれば、日本はまだまだ終わらないし、むしろ良くなって行くんじゃないかなって思います。

私は中学生の頃からお金持ちになって、困っている人たちにお金をポンって渡したいと思っていて、この前、ソフトバンクの孫さんが東日本の震災義援金に100億を出した時に、孫さんが100億をポンっと出すよりもその100億で孫さんが何かをやった方が、もっと価値があるのではないかって言った方がいて、その考えに感銘を受けました。私はお金持ちにはなりたいけど、そのお金をその人たちの為になるように自分が使いたいと思います。

深海:正直、分からないけど、不思議と不安ではないんです。「なんとかなるだろう」って。周りの人たちを見ていても、多分、震災をきっかけにそういうのを考えただけかもしれないけど。「どうにかしよう」と思う人が増えたような気がします。そういうきっかけが無いと、どうにもならなかっただろうなとも思います。そして、きっかけがなかったら変われないのなら、最初から変われないんじゃないか?って、考えてしまう事もあるけれど、でも、そういう動き(きっかけ)があるというのは、今、大きな変化が起きているのだとも思っています。少しでも日本の未来が良くなっていけばって思います。

片岡:ありがとうございました。皆さんシッカリしているね。たぶん皆さんは色々な意味で、現在の日本の学生の「上澄み」の1%で、皆さんのような人たちが、あとの99%を巻き込んで、周りが付いてきてくれれば、きっと大きな山が動いていくんだろうって…僕はそう思いました。こちらが元気をもらいました。お疲れ様でした!

■インタビューを終えて

私は2つの質問の流れ(パターン)を事前に用意していました。1つは、彼女たちがいわゆる「タレント志向」で、(言葉は悪いですが)、ある種の「売名目的」で、現在の活動をしていた場合の「流れ」です。彼女たちの「PR」になるような質問もしなければと思っていました。一方で、彼女たちが「ミスキャン」であることを1つの「ツール」(PR用語でいう「パブネタ」)としてうまく利用し、本気で「社会貢献」を目指している場合の「ガチ」の質問も用意しておきました。インタビュー前に簡単な雑談をさせてもらいました。その結果、私の質問は1問目から「ガチ」でした。

ところが「お金と評価とどっちが大事?」という「貨幣社会」から「評価社会」に向かう社会変化の「兆し」を二者択一で(誘導)質問したつもりが、「私、お金持ちになりたい」と返され、私の浅はかな「予定稿」(想定原稿)は、脆くも崩れました。彼女たちにとって「金」と「評価」は必ずしも「対立」するものではなく、「金持ちになった上で人のために使いたい」と(笑)。

「社会貢献」は継続こそが大切です。今の「活動」(せめてその「思い」)を、いつまでも継続してもらいたいと思います。一方で、学生時代というのはそういう「継続」さえ考えない自由と権利を持った貴重な時期でもあります。現在の「社会貢献」などという小さな概念に囚われず、もっと自由に、多方面で羽ばたいていくことのできる3人だとも思いました。