土屋孝元のお洒落奇譚。紳士のファッション。ハンカチ、
ポケットチーフについての 考察。

(2011.10.24)

紳士たるもの
自分のハンカチは持参する。

普通どなたでもハンカチは持っていらっしゃいますね。外出先でトイレに入った時、エアタオルやペーパータオルが付いていても、紳士たるもの自分のハンカチは持参する、これが基本マナーでしょうか。


ある映画で見かけた役者さんの仕草に ポケットチーフを取り出し軽く鼻をかみ、何も無かった様に またそのチーフをポケットに入れるというものがありました。なんとも様になっていて印象に残るシーンでした。フレッド・アステアだったかと記憶が朧げですが。素敵なスーツ姿での仕草ですから、より鮮明に記憶されたのでしょう。


また こんな場面も。エスコートしている女性に何気なくハンカチを差し出すシーン、きちんとアイロンがあてられた白いリネンのハンカチでした。クラーク・ゲーブルかゲーリー・クーパーかと記憶していますが、定かではありません。


またある映画では洒落たポケットチーフを取り出して女性にプレゼントすると、なんとそのポケットチーフは素敵な下着ではありませんか、エスプリのわかる女性に限られますが、この様にいろいろと映画でも使われています。スーツ姿で見かけるポケットチーフは広くはハンカチの一種に入ります。

フォーマルには、ブラックスーツに
リネンの白いポケットチーフをパフスタイルで。

歴史的には、イタリアのナイトがハンカチを手に持つことから始まり、今の四角い形に決めたのは、なんと、あのルイ16世でした、その当時あまりにも大きなモノや奇抜な形が流行していたので法律を制定したとか、しないとか。時は経ち、19世紀イギリスで紳士のファッション、ポケットチーフとして確立され、今に至り現在のスタイルが基本となったようです。英語ではpocket-squareポケットスクエアと言います。


僕が知っている限りでもパフスタイル、スリーピークマナー、(ツーピークマナー、)クラッシュスタイル、TVホールド、トライアングル、いろいろなポケットチーフの形がありますが、個人的には、パフスタイルかクラッシュスタイルを好んで使うことが多いです。
フォーマルな席などに招かれた時には、席の場所や、どの様なお客様がいらしているかを考えてブラックスーツにリネン(麻製)の白いポケットチーフをパフスタイルで使用します。


シルクよりもリネン(麻製)のモノの方がよりフォーマル、正式な様ですね。最近では、少しカジュアルなドレスダウンも許される様なので、シルクでも良いのでしょうか?


この様にいろいろと使い道があるリネン(麻製)のハンカチ(ポケットチーフ)は重宝するので、ダース買いで数年毎に新調しています。


このリネン(麻製)のハンカチも以前お話した香港のアスコットチャン製です。もちろん、アイロン掛けも自分でしております。食事へ出かけて、ちょっと正式なレストランへ入ると、やはりナプキンやテーブルクロスなど白いリネン(麻製)のモノが多い様に感じます。


綺麗にアイロン掛けされたリネンのテーブルクロスは気持ちも引き締まり、食器やカトラリーとのバランスもよく、絵の様に感じますが これはみなさん、共通の感覚ではないでしょうか。

話をポケットチーフに戻し、どんなスーツにも白いリネン製は間違いがなく、僕もよく使用しているのですが、マナーブック的にはリネン(麻製)はよりフォーマル度が増すので場所を選ぶ様ですね。

ポケットチーフとネクタイやスーツとの
バランスを合わせる楽しみ。

普段スーツにネクタイ姿の時、ネクタイの色とバランスのとれる色のポケットチーフを選びます。比較的多いのはエルメスのシルク製かジムトンプソンのポケットチーフです。このエルメスのポケットチーフにはあの有名なエルメススカーフ柄の縮小版があり、お店で見かけた時には、迷わず購入しています。


それでもなかなか良い柄は見つからず、気にして集め出して25年ぐらいですが15、6枚ぐらいしかありません。
絵柄により見える色味を考え、ネクタイやスーツとのバランスを合わせるのが楽しみでもあります。


僕の基本はネクタイの一色にある色がポケットチーフの柄の中にある事、スーツの色の濃度とのバランス。紺のチョークストライプスーツには少し明るいブルー地の絵柄のポケットチーフとか、ダブルの六釦ピークラペルのチョークストライプのスーツに限りますが、カポネ風に白いリネンのポケットチーフをスリーピークマナーで決めるとか、夏の軽いシアサッカーのスーツには紺に近いブルー地のパリの地図をプリントしたポケットチーフとか。

明るいグレンチェックのスーツには最近では、鮮やかなパーマネントイエローの地に赤のプリントが入ったポケットチーフ、黒に近いチャコールグレーのスーツには黒地にマルーンの水玉柄のポケットチーフ、ネクタイはM100%に少しスミが入った地に黒に近いグレーの細かいドット柄、シャツは金赤M100%+Y100%の5mm幅のストライプシャツとか、これはこれが決まりですとも言えないので、自分なりに経験し、いろいろ試されるとよいでしょう。

白いリネンやシルクはどの様なスーツにも比較的合いますし、合わせやすくネクタイの色も選びませんね。