もし就活学生がマーケティングを勉強したら 3 新卒一括採用は大きな市場、
模範解答はひとつではない

(2012.06.25)

就活市場にもいろいろあります。

プロ野球の12球団でプレイすることを仕事にしようと考えている方は、プロ野球ドラフト会議で指名を受けるための就活市場に参入します。大学の体育会野球部に所属し、厳しい練習に耐え、試合でも成果を残した学生だけが参加できる就活市場です。

彼らは小学生のころから野球に打ち込み、高校時代も甲子園に出場したかあるいはそれに近い成果を上げた方々です。彼らの就活は大学4年の秋に開かれるドラフト会議で指名されるか否かで決まります。しかもそこにはハッキリ順番がついていて、その順番によって初任給も、あるいは普通の企業ではもらえない莫大な契約金も決まってきます。(逆に彼らは普通の企業ではもらえることの多い退職金がもらえません。)

これに比べると皆さんの参入する市場は新卒一括採用という非常に大きな市場です。

初任給の差はあってもドラフトの序列による差に比べたら微々たるものです。また、そこで求人を行う企業も、膨大な数で多岐に及んでいます。野球だけに突出した能力を持っている学生を指名するのとは違って、企業が学生に備えていてほしいと期待していること(これを企業側のニーズといいます)も様々です。

もちろん野球の上手な男子だけではなく、女子もいれば、大学も、学部も、学科も様々な学生が参入するのです。そこには人それぞれの就活方法があるはずです。

それにもかかわらず就活には模範解答となる正しいやり方があってそれを誰かに教えてもらうことが正しい就活だと考えるのは少しおかしくはありませんか? いわゆる就活対策本に書いていることや無事内定をゲットした先輩から聞いた話はたまたまその人があるタイミングでやったらうまくいった、という話に過ぎないのです。皆さんにピンと来るものがなくてもそれは当然でしょう。


樹「どこに答えが書いてあるんだ~!」

イラスト / たかはし たまき