もし就活学生がマーケティングを勉強したら67市場細分化にはどのような方法があるのでしょうか?

(2013.09.23)

企業が顧客にモノやサービスを売る時に市場を絞り込んで効率よく稼ぐことを考えます。これを市場の細分化(Market Segmentation)ということは以前もお伝えしました。この細分化こそマーケティングの肝であり、成功と失敗の分岐点となります。マーケティングというと派手な広告宣伝や販促をイメージする人が多いのですが、市場細分化がしっかりできていないものに広告宣伝費や販促費をつぎ込むほど無駄なことはないでしょう。

マーケティングの教科書では市場細分化の方法が系統立てて説明されています。そこで最初に登場するのがデモグラフィック・セグメンテーション(Demographic Segmentation)といわれるもので、最も基本的な細分化手法です。デモグラフィックというのはなかなかピンとくる訳語がなく、「人口統計的」などと訳されています。具体例でいうと、顧客の性別、年齢別、職業別、所得水準別、居住地域別、学歴別、生活時間帯別の細分化などがあげられます。男性と女性、年齢などの属性が異なることによって購買行動が変わってくることは容易に想像がつくでしょう。

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生活時間帯別の細分化の例では、以前はお店のやっていない時間帯を狙って新しい市場を開発したのがコンビニエンスストアということでしょうし、牛丼チェーン店が朝食メニューを開発するのも同様の例だと考えられます。

また日本の場合、所得水準別の細分化と学歴別の細分化が似た結果になる。つまり高学歴の人ほど高所得な傾向があるので、この二つの細分化はどちらかひとつでいいだろうということにもなります。リタイアしたような高齢者層は所得だけで見ると大したことないように見えるけれども、子育てや住宅ローンからは解放されている人が多く、預貯金や不動産などの資産を豊富に持っていたりするので、所得水準別だけの細分化で考えていると顧客として見落とされてしまうことになります。

こうした複数の属性を組み合わせながら市場細分化を行なっていくことを「デモグラで切ってみよう」などといいます。


樹:またつまらぬものを斬ってしまった。
イラスト / たかはし たまき