もし就活学生がマーケティングを勉強したら 58面接に向けて定性調査の仕組みを
知ることが有益です。

(2013.07.22)

マーケティング・リサーチにおける定性調査にはいくつかの種類があります。そのひとつが面接(interview)です。「インタビュー」というと街中で通行人のオバサンに「○○さん(タレント)の離婚のこと、どう思われます?」とか、顔を赤らめたサラリーマンに「お父さんにはアベノミクス効果はありましたか?」とか聞いたりするのだけではありません。

こうしたレポートでもメディアで紹介するに値する気のきいたコメントを引き出すためにはレポーターの機転が必要になることは皆さんも何となくわかるでしょう。一方、大学教授や専門家に対するインタビューというのもあります。例えば「原子力発電所を再稼働させる基準の根拠は何ですか?」とか「アベノミクスの問題点はどのようなところにあるのですか?」などです。こうなるとインタビューをする人(これをインタビュアーといいます)もされる人も相当勉強しないとまともなレポートは出来ません。皆さんが就活で経験する面接はこれらの中間に位置する、両方の側面を持ったものと考えた方がいいと思います。

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それではインタビューをする時にレポーター(インタビュアー)はどのようなことに留意するでしょうか。インタビューされる時は誰でもはじめは緊張するものです。買い手市場の昨今の採用面接となるとなおさらで、なかなか学生本来の姿は見えて来ません。そのような状態は両者にとって好ましいものではありません。場の空気を和ませる、暖める時間というものが必要です。

その際に用いられる質問があります。「今日は急に暑くなったけど、慣れないネクタイ締めていると大変でしょう?」とか「もうすぐ定期試験じゃないの?就活と両立できる?」などです。これはピッチャーがバッターの打ち気を探るためにまず第一球を外角高めにはずすような質問なのですが、打ち気満々すぎると「これも私も能力を探っているに違いない」と考えて練り上げてきた自己PRに強引につなげようとして、自分が何をしゃべっているのかわからなくなってしまうことがあります。こうなると悲惨で面接官も何を質問していいか分からなくなってしまいます。

面接官の質問の意図をしっかり把握して、自然なキャッチボールが交わせるようになって初めて自分のよさも伝わります。こうしたウォーミングアップの質問にもごく自然に対応でき、その中でさりげなく自分をアピールできれば理想ですが、まずはきちんと質問を見極められるようにならなければなりません。


面接官は占い師ではありません。
イラスト / たかはし たまき