もし就活学生がマーケティングを勉強したら64マーケティングとイノベーションはどう違うのでしょうか?

(2013.09.02)

ドラッカーという経営学の神様といわれている学者がいます。彼の経営学のテキストは世界中で翻訳されているので皆さんの中にも読んだことがある、あるいは読まされたという方も多いでしょう。ドラッカーは「企業の使命は顧客の創造である」と言っています。お客様があってはじめて企業の存在理由があるのです。お客様のいない企業などありません。彼は「顧客の創造」には二つのことが必要だと言っています。ひとつはマーケティングで、もうひとつはイノベーションです。

イノベーションも近年よく目にする言葉で、革新とか新機軸といった意味ですが、マーケティングとイノベーションの違いは何でしょうか。

環: なんかこういうカタカナ言葉って多くない?

樹: 似たようなものが多くて頭がこんがらがってくるよ。

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こういったカタカナ言葉で言い切ってしまうと何となくわかっているように、理解したように見えてしまうのは非常に危険なことです。またやたら新しいカタカナ言葉を使う人間はちょっと胡散臭いイメージを与えることがあるので注意が必要です。状況によっては微妙に意味が違って使われることがあります。頭の中で必ず日本語で説明したらどうなるのか、立ち止まって考えるようにしましょう。

マーケティングは既に存在する顧客の欲求(こうしたいという気持ち)を理解し、それを満足させるためにどうしたらよいかを考えることであるのに対して、イノベーションはまだ顕在化していない、新しい欲求を創り出してそれを満足させるためにどうしたらよいかを考えること、と言われます。つまり世の中に変化をもたらすものと言ってよいでしょう。マーケティングは既にあるものを改良していくイメージなのに対してイノベーションは新たに何かを生み出すようなイメージと言えるかもしれません。

マーケティングが目指すものが「差別化」であるのに対して、イノベーションはまだライバルがやっていない市場を自ら創り出す先駆者になるという意味で、「独自化」を目指すとも言われます。


イノベーションは新しい欲求を創り出すことです。
イラスト / たかはし たまき