21世紀のビジネス最前線 ゲーム業界 その2ゲーム業界の突破口となるか!?
話題の新作『PS®Vita』の全貌

(2011.11.04)

ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ プレジデント
吉田 修平

ソニー・コンピュータエンタテインメント SVP兼第2事業部長
松本 吉生

94年より家庭用ゲーム機『プレイステーション』シリーズを発売するソニー・コンピュータエンタテインメント。2011年末から順次発売する次世代携帯型エンタテインメントシステム「PlayStation® Vita」の詳細なスペックと専用ソフトウェアタイトルについて、最新情報を紹介した。

深くて没入感のあるゲームに加え、
日常生活におけるユーザー間のつなががコンセプト。

『PlayStation®Vita』(以下、『PS®Vita』)は単に新しい携帯ゲーム機ではなく、『PSP®』およびPS3のプラットフォーム上で実現した最先端のエンターテイメントをさらに充実させるために、現実の体験と連動するような革新的なアプリを提供していきたいと考えています。最先端のエンターテイメントシステムとして、『PS® Vita』では、『PlayStation®』のDNAである深くて没入感のあるゲームをお届けしています。またあらたに3Gのネットワークアクセスにも対応していますので、様々なアプリケーションとの連動により、ユーザーの皆様は日常生活でほかのユーザーとあらたな出会いやつながり、発見、共有、あそびといった無限の可能性を、『PS®Vita』を通じて体験することができます。

特徴的な機能としましては、没入感のあるゲームを提供できるスペックを搭載したことです。まず5インチの高性能有機ELディスプレイ、全面がタッチスクリーン、背面のタッチパッド、2つのアナログスティックを本体の前面左右に搭載しました。これにより操作性がかなり向上したと考えています。さらにジャイロセンサー、加速度センサーといった各種センサーを搭載することで、操作性をより幅広いものとし、あらたなゲーム体験を提供したいと考えています。

『PS®Vita』発売日は12月17日、
3G+Wifiモデルは本体価格29980円で提供
(Wifiのみは24980円)

また『PS®Vita』では、没入感のある高品質のゲームに加え、世界中で広く利用されているソーシャルネットワーキングサービス、コミュニケーションサービスをいつでも気軽にお楽しみいただけます。ユーザーの皆様には『PlayStation®』 Storeから直接『PS®Vita』に各サービスの専用アプリケーションをダウンロードしていただき、そして『PS®Vita』のタッチスクリーン向けに最適化された操作でゲームを楽しんでいただけることが可能になりました。今後各種ソーシャルネットワーキングサービスとの連携を通じて、魅力的なエンターテイメント体験を皆様に提供していきたいと思います。

『PS®Vita』の本体価格につきましては、日本では3G+Wifiモデルを本体価格29980円、wifi24980円で提供していく予定です。たいへん魅力的な価格に設定できたのではないかと考えておりまして、多くの皆様に『PS®Vita』をお楽しみいただきたいと考えています。そして気になる発売日ですが、日本では12月17日でございます。これに合わせまして、予約開始は10月15日です。欧米に関しては年明けの販売を予定しておりまして、現在準備が着々と進んでおります。また『PS®Vita』の販売をうけ、ソフトウェアからたいへん強力なサポートを受けておりまして、これまでにワールドワイドで約150社からの参入を表明して頂きました。また自社からもこれまでにご好評頂きましたフランチャイズ、まったく新しいものも含めまして幅広いジャンルの体験を準備しております。

こうして『PS®Vita』はサードパーティ各社の多大な協力をもとに、合計26タイトルをハード機と共にローンチする予定です。これは『PlayStation®』 の歴史のなかでも最大数のタイトルとなりました。また現在100を超えるタイトルを開発中でございまして、継続的に魅力あるタイトルを発売していきたいと思います。今回の東京ゲームショウでは合計40タイトルの展示を行なって参ります。

『PS®Vita』はAR技術をさらに強化。
ワイドエリアARで過去の弱点を克服。

『PlayStation®』では早い段階からカメラを用いたAR(拡張現実感)技術の研究を進めており、『PS2』におけるEyeToyや、『PlayStation®Eye』 、そして昨年発売された『PlayStation®MoveなどARに積極的に取り組んで参りました。本日は『PS®Vita』で実現するあたらしいAR技術についてご紹介したいと思います。まずは、ワイドエリアARです。『PSP®』などポータブル機でARを行う際、ARマーカーというカードを用いることが多いのですが、欠点として、ポータブル機を動かしてカメラがマーカーを捉え切れないとキャラクターが画面から消えてしまうことがあります。実際プレイすると、カードの角度を少し変えただけで結構簡単にマーカーを見失ってしまうという経験をされた方がいらっしゃるのではないかと思われます。今回、『PS®Vita』の高い処理能力を用いまして複数の感知能力をテーブルの広いエリアにたいして扱うことができました。

『PS®Vita』では高いプロセッサの処理能力によって、ARカード1枚でも美しい画像を実現することができ、またARカードを複数用いると、テーブル全体をゲームフィールドに見立ててプレイすることができます。また床とテーブルにARカードを置いて、高さを活かしたゲームフィールドをつくることもでき、さらに自分のペットをトレーニングするための仕組みを構築することも可能です。このように様々な可能性を秘めたワイドARですが、今後も引き続き情報をシェアさせていただきます。

『PS®Vita』にカジュアルコンテンツをもたらした
『PlayStation®Suite』

『PlayStation®Suite』はAndroidケータイ端末にコンテンツを提供する取り組みです。クロスプラットフォーム、クロスデバイスをキーワードとして、専用端末以外にも『PlayStation®』の世界を展開していきます。現在クロスプラットフォーム向けのあたらしい開発フォーム『PlayStation®SuiteSDK』を準備しており、『PlayStation®SuiteSDK』を使って開発されたコンテンツは『PS®Vita』上でもお楽しみいただけます。

これにより様々なアプリケーションを効率的に、また少ない予算で開発することが可能となり、『PS®Vita』をサポートしていただいているディベロッパーの皆様には『PS®Vita』のもつパフォーマンスを活かしたコンテンツ制作に加え、カジュアルなコンテンツを制作することが可能となります。また新たに『PlayStation®』の世界にご興味いただいた方にもSDKを提供しており、今年の11月からβ版で運用開始いたします。来春には『PlayStation®』Storeにて展開、春以降の配信を予定しております。

このように、カジュアルコンテンツでありながらも3Dが簡単に使えるライブラリ、またゲームだけではなく、幅広いアプリを開発できることが『PlayStation®』Suiteの魅力です。今後はソニータブレット、ソニーエリクソンのAndroid対応端末向けに、初代のコンテンツ配信していく予定です。