もし就活学生がマーケティングを勉強したら74プロダクト・ライフ・サイクルから
企業を見てみましょう。

(2013.11.11)

マーケティング戦略を立てる際にプロダクト・ライフ・サイクル(Product Life Cycle)というものを想定して考えることがよくあります。これはその企業が持っている製品の寿命を念頭において、今どのくらいの段階まで来たのか、次にどのような展開が予想されるのか、を考えるためのフレームワークのようなものです。もちろんこれは製品だけではなくサービスについてもあてはまります。

最初は「市場開発期」(Market Development)で、新しい製品が市場導入された段階です。「導入期」とも呼ばれます。グラフの縦軸は売上高とか売上量と考えて頂いていいのですが、0からスタートして徐々に上がっていきます。これがしばらくすると曲線が急カーブを描いて上昇していくようになります。これを「成長期」(Market Growth)と呼びます。いつ頃から「成長期」が始まるのか、どのくらい続くのかは製品によってまちまちです。

これまで世の中に普及した製品を見ると、世帯普及率が20%を超えると爆発的に売れるようになってこの曲線が急上昇することが確認されていますが、想定するターゲットによっても上昇の仕方が変わってくると思います。「成長期」の次は上昇度合いが鈍くなり、頭打ち状態になる「成熟期」(Market Maturity)です。そして最後は逆に減少していく「衰退期」(Market Decline)を経て市場での役割を終えていくことになります。全体としてみるとS字型の曲線になります。

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企業はいくつもの製品を揃えることによって特定製品の寿命が来て収益が上がらなくなるというリスクをヘッジし、全体としての収益が右肩上がりを維持できるように経営努力を続けていく訳です。

もちろん世の中にはまだ立ち上がったばかりのベンチャー企業のほかにも単一の製品しか製造販売していない老舗企業もたくさんあります。それはその製品が強力な競争力を持っているためにライバル企業が追いつけない状態を維持しているということなのです。下手に事業規模を拡げて戦力を費消したり、失敗して赤字を出すようなリスクを抱え込んだりするよりよっぽど効率のよい経営である場合もあります。

皆さんが興味を持った企業はどちらのタイプの企業でしょうか。


プロダクト・ライフ・サイクルは人間の身体の成長にたとえられます。
イラスト / たかはし たまき