もし就活学生がマーケティングを勉強したら 60グループ・ディスカッションは
面接とどう違うのでしょうか?

(2013.08.05)

面接は通常複数回実施されますが、その中に「グループ・ディスカッション」というものが挟まれることがあります。司会者が何かのテーマについて学生同士で議論させ、そのプロセスを通じてその学生の資質を見ようとするものです。マーケティング・リサーチの面接(インタビュー)にも一人の対象者にある程度時間をかけて質問を重ねていく深層面接(デプス・インタビュー)があることは説明しました。この他に複数の対象者を一箇所に集めて面接(インタビュー)する「グループ・インタビュー」という手法があります。(「フォーカス・グループ・インタビュー」ということもあります)これと対応させて考えるとわかりやすいかと思います。

***

グループ・インタビューは通常5~7人くらいの似通った属性を備えた対象者で実施するのが効率よくアウトプットが得られるといわれます。それ以上だと参加者の発言のバランスをとることが難しくなってしまいます。グループ・インタビュー調査の醍醐味は1+1=2ではなくて3にも4にもなりうるということです。つまり対象者一人にインタビューして質問を重ねていても得られないアイディアが他の対象者の回答に触れることで化学反応を起こしたように生まれることがあるということです。こうした化学反応を起こすような司会者(インタビュアー)程優秀といえるでしょう。

このような化学反応は同じような属性を持った人々の間でよく発生し、異なる価値観、考え方を持った人々の間ではあまり生まれません。例えば、新しいゲームソフトのアイディアを大学生とお年寄りの混じったグループでインタビューしても話題が盛り上がりそうにないことは容易に想像がつくでしょう。

では採用のプロセスで、なぜグループ・ディスカッションを導入するのでしょうか?そこでは会社に入った後皆さんが経験するチームでの作業の適性を見ているのです。人の意見をしっかり聞いて、どのような意見が出ているのかを理解し、その中で自分のいうべきことをコンパクトに発言する、そして他のメンバーのアイディアを引き出しチームのアウトプットに貢献する、こうした能力の資質が見られているのです。相手を言い負かすことが求められているのでも、多くしゃべればいい訳でもありません。


グループ・ディスカッションでは場の空気を読んだ意見が求められます。
イラスト / たかはし たまき